8月ロイター企業調査:経済対策「必要」75%、財政出動や消費減税

8月ロイター企業調査:経済対策「必要」75%、財政出動や消費減税
 8月のロイター企業調査によると、減速が懸念される足元の景気に対応し、経済対策が「必要」とする企業は75%にのぼった。写真は2016年2月、都内のビジネス地区で撮影(2022年 ロイター/Toru Hanai)
[東京 18日 ロイター] - 8月のロイター企業調査によると、減速が懸念される足元の景気に対応し、経済対策が「必要」とする企業は75%にのぼった。6―10兆円規模を求める声が最も多く、8%の企業は30兆円超と回答した。
長期化する円安やコスト高、主要国での利上げなど景気不安定要因が重なるなか、新規感染者数が高止まりしている新型コロナウイルス感染症の第7波に関しても、8割の企業が年度後半のリスクと認識している。
調査期間は8月2日から8月12日。発送社数は495、回答社数は245だった。
<消費減税求める声も>
経済対策が「必要」と答えた企業にどのような対策が必要か聞いたところ、新たな財政出動44%、グリーン・デジタル成長戦略33%、公共工事22%などとなった。「ばらまきではない規制緩和と成長分野への財政出動が必要」(輸送用機器)、「先が見えない状況では民間企業の積極的な投資の継続を期待することは難しいため、公共投資を先行して欲しい」(情報サービス)などの要望が出された。
また、光熱費の上昇が企業収益のマイナス要因になっていることから「原発再稼働による電力料金の引き下げ」(電機)を求める声や、物価高への対応策として、消費減税をあげる企業も複数あった。
経済対策の規模は、6―10兆円が37%で最も多く、5兆円以下が18%、11―15兆円が17%、16―20兆円が16%と続き、30兆円超を求める回答も8%あった。
<新型コロナ、求める政策対応には変化>
新型コロナの感染再拡大を巡っては、年度後半の経済にとって「大きな下振れリスク」(8%)、「多少の下振れリスク」(72%)とした回答が合計80%と、何らかの下振れリスクと認識されている。
現時点で政府は、従来のような行動制限を伴う対策は講じていない。
今回の企業調査でも、「政策対応は必要ない」との回答が17%にのぼったほか、これまでのような行動制限を求める声は少ない。
企業が求める対策は「ワクチン接種の徹底」が45%と最多になった。「飲食店などの時短営業・人数制限」は9%、「ロックダウン」は1%に過ぎなかった。「以前のような行動規制は、経済に与える影響が甚大なため、原則は不要。一方、ワクチン接種や在宅勤務など、経済活動を止めない中での政策は積極的に行うべき」(卸売)との見方だ。
ただ、医療にアクセスできない人が出ている現状も不安視されており、「コロナの感染拡大はしばらく続く前提で、感染した場合の対処方法の周知徹底を図ることで医療崩壊を防ぐ対策を期待したい」(精密機器)、「保健所の負荷増大や救急医療体制のパンクといった、以前からの問題点を早急に解決すべき」(電機)など、医療面での対策を求める声が多く出ている。その他の回答の中には、感染法上の分類の「5類相当」への変更も複数あった。
(清水律子 グラフィック作成:照井裕子 編集 橋本浩)

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