米金融・債券市場=利回り急上昇、コロナワクチンの有効性巡るニュースで

    [ニューヨーク 9日 ロイター] - 米金融・債券市場では、国債利回りが急上昇
した。米製薬大手ファイザーが開発する新型コロナウイルス感染症ワクチンの高
い有効性が示されたことで、米経済がコロナ禍の後退局面から脱するとの楽観的な見方が
広がった。
    指標10年債利回りは14ベーシスポイント(bp)上昇し、3月以来の高水準。1
日の上昇幅も3月以来の大きさとなった。
    長短金利差は2018年2月以来の大きさに拡大。2年債と10年債の金利差は一時78.3bpを付けた。終盤は77bp。
    ファイザーは9日、独バイオ医薬ベンチャーのビオンテックと共同開発する
新型コロナ感染症ワクチンの臨床試験(治験)で感染を防ぐ有効率が90%を超えたと発
表した。
    この発表を受け、安全資産である欧米の債券市場に売りが広がった。
    FHNフィナンシャルのシニア金利ストラテジスト、ジム・ボーゲル氏は「きょうの
ワクチンを巡るニュースは大きな安心感をもたらしたが、今後の展開は不明瞭だ」と指摘
。「ニュース初日の債券市場の反応は妥当に見える。一方、株式市場はやや先走っている
印象だ」と述べた。
    米大統領選で民主党候補のバイデン前副大統領が勝利を確実にしたことも債券市場の
追い風となった。
    バイデン氏はこの日、新型コロナの対策本部(タスクフォース)を立ち上げた。1月
の就任を前に、米国が直面する危機への対応策を検討する。
    午後の取引で、10年債利回りは前週末の0.82%から0.954%
に上昇。序盤には0.975%と3月以来の高水準を付けた。
    30年債利回りも一時1.767%と3月以来の高水準に上昇。終盤は
1.749%。前週末は1.598%だった。
    シーポート・グローバル・ホールディングスのマネジングディレクター、トム・ディ
ガローマ氏は、10年債利回りが1%近辺、30年債利回りが1.75─1.80%近辺
で押し目買いが入ると想定。30年債は「現時点でかなり売られ過ぎ」とした。
    10年物インフレ指数連動債(TIPS)利回りはマイナス0.74
3%と7月以来の高水準。終盤はマイナス0.77%。前週末はマイナス0.831%だ
った。
    10年債と10年物TIPSの金利差(ブレークイーブン・スプレッド)は1.72
5%に拡大し、昨年10月以来の大きさとなった。
    米財務省がこの日実施した540億ドルの3年債入札では、最高落札利回りが0.2
5%となった。応札倍率は2.4倍と前回の2.44倍を下回った。アクション・エコノ
ミクスによると、4月以来の低水準だが、応札倍率の低下は入札規模の増加によるものと
した。
    間接入札者比率は38.9%で、19年5月以来の低水準。10月は55.7%、平
均は52.2%だった。
    
    <ドル・スワップ・スプレッド>
 DOLLAR SWAP SPREADS                                            
                                  Last (bps)  Net Change (bps)  
 U.S. 2-year dollar swap spread   7.25        -1.00             
 U.S. 3-year dollar swap spread   6.50        -1.00             
 U.S. 5-year dollar swap spread   5.25        -0.75             
 U.S. 10-year dollar swap spread  1.00        -0.75             
 U.S. 30-year dollar swap spread  -34.25      -1.25             
 
    
 (い)

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