米下院民主党、トランプ氏弾劾手続き入り 13日に決議案審議も

米下院民主党、トランプ氏弾劾手続き入り 13日に決議案審議も
 米民主党は1月11日、トランプ大統領が連邦議会議事堂襲撃に絡み反乱を扇動したとして、弾劾訴追に向けた決議案を下院に提出し、弾劾手続きに入った。写真は議事堂前に集まる州兵ら(2021年 ロイター/ERIN SCOTT)
[ワシントン 11日 ロイター] - 米民主党は11日、トランプ大統領が連邦議会議事堂襲撃に絡み反乱を扇動したとして、弾劾訴追に向けた決議案を下院に提出し、弾劾手続きに入った。13日までにトランプ氏が辞任するか罷免されなければ、同日にも弾劾に踏み切る方針だ。
下院関係者によると、民主党のホイヤー下院院内総務は党議員らに対し、憲法修正25条に基づきトランプ氏の職務を停止するよう求める要請にペンス副大統領が応じなければ、13日に弾劾審議に入る考えを示した。
弾劾決議案が可決されれば、米国の歴代大統領で初の2回目の弾劾訴追となる。
下院がトランプ氏を弾劾訴追すれば、上院が弾劾裁判を開いて罷免を判断する。ただ、残り9日となったトランプ氏の任期中に手続きが完了する可能性は低い。弾劾裁判で有罪となれば、上院はトランプ氏が再び公職に就くことも禁じる可能性がある。そうなれば、2024年大統領選への出馬の道は閉ざされる。
ホイヤー氏は記者団に対し、13日にも弾劾決議案が採決される可能性があると表明。「トランプ氏が反乱を助長し、議会と民主主義への攻撃に関与し、大統領選の投票集計の妨害を企てたと、われわれのほとんどが確信している」と語った。
民主党のペロシ下院議長は「(トランプ)大統領はわが国や憲法、国民に対する差し迫った脅威であり、直ちに職を解く必要がある」と訴えた。
こうした中、共和党は、修正25条に基づきトランプ氏の職務を停止するようペンス副大統領に求める決議案の審議に直ちに入ることに反対。共和党のアレックス・ムーニー下院議員は「公聴会での審議や投票がないまま、正規に選出された大統領の解任を要求する決議案を採択するようなことがあってはならない」と述べた。
同決議案は12日にも採決される可能性がある。可決後24時間以内にペンス氏が応じない場合、弾劾決議案の審議に入る見通し。
弾劾決議案の作成に関わった議員は、下院民主党議員222人のうち少なくとも214人の支持を確保したとしており、可決の可能性が高いことを示唆している。
民主党のダイアナ・デゲット下院議員は、一部の共和党議員が私的なやり取りの中で弾劾への支持を示したと述べた。
<上院の日程は不透明>
仮に下院が弾劾決議案を可決したとしても、上院(定数100)がワシントンに戻るのは今月19日の予定だ。弾劾裁判を開くため週内にも上院を招集するには、議員100人全員の同意が必要になる。
ただ、民主党の上級補佐官によると、上院民主党トップのシューマー院内総務は、緊急事態を想定して17年前に認められた権限を活用し、共和党トップのマコネル院内総務と協力して招集できるか模索しているという。
シューマー氏の事務所は、マコネル氏とこの件について話し合ったかどうかコメントしていない。
弾劾裁判での罷免には3分の2の賛成が必要で、少なくとも17人の上院議員が支持する必要がある。これまでにトランプ氏の職務継続に公に反対を表明した共和党議員は少数に限られている。
民主党は、先のジョージア州決選投票での勝者が就任すれば上院で50議席を確保し、ハリス次期副大統領が決定票を握ることになる。
民主党内では、弾劾裁判が新政権発足後数週間の日程に支障をきたし、閣僚人事や新型コロナウイルス経済対策など優先課題に影響が出るとの懸念も浮上している。
バイデン次期大統領は11日、一部の上院議員と弾劾について意見を交わしたことを明らかにした上で、弾劾裁判とその他の案件を並行して進めることが可能かどうか当局者が上院側と調整を行うとした。
バイデン氏は記者団に対し「半日を弾劾問題に充て、半日を人事承認や景気対策に充てる、というのが私の望みだ」と語った。
民主党の重鎮であるクライバーン下院議員はこれまでに、弾劾訴追決議案が下院で可決されても数カ月間は上院に送付されず、弾劾裁判は当面開かれない可能性があるとの見方を示している。

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