EUが10日から首脳会議、ロシア産石油・ガスの輸入縮小で合意へ

EUが10日から首脳会議、ロシア産石油・ガスの輸入縮小で合意へ
 欧州連合(EU)は10─11日にフランスのベルサイユで開く首脳会議で、ロシアからの石油・天然ガス・石炭の輸入を徐々に縮小していくことで合意する見通しだ。写真はロシア国営天然ガス独占会社ガスプロムの精製所。2020年2月、同国のオムスクで撮影(2022年 ロイター/Alexey Malgavko)
[ブリュッセル 7日 ロイター] - 欧州連合(EU)は10─11日にフランスのベルサイユで開く首脳会議で、ロシアからの石油・天然ガス・石炭の輸入を徐々に縮小していくことで合意する見通しだ。ロイターが首脳会議声明の素案の内容を確認して分かった。
声明素案には「われわれはロシア産ガス、石油、石炭輸入への依存を段階的に減らすという点で意見が一致した」と記されている。
現在EUは、ロシアからのガス輸入が全体の45%、石油輸入が約3分の1、石炭輸入がほぼ半分を占めており、欧米の制裁に対する報復としてロシア側が輸出制限に動けば、域内のエネルギー供給が大混乱しかねない。
このための対策として(1)液化天然ガス(LNG)の利用やバイオガス、水素の開発を通じたエネルギー供給と調達の多様化(2)再生エネルギー普及加速(3)域内のガス・電力網の共有化による有効活用促進(4)電力網の統一化とエネルギー安全保障のための緊急計画強化――などを打ち出している。
昨年まで、ドイツはロシア産天然ガスを送るパイプライン「ノルドストリーム2」の稼働を推進し、ロシアからのエネルギー供給への依存度が大きいイタリア、オーストリア、ハンガリーなども積極的に代替調達先を模索する動きは見えなかった。
しかし声明素案は「ロシアの侵略戦争で欧州の歴史に構造変化が起きた。国際情勢の不安定化や戦略的競争、安全保障の脅威が高まったことで、われわれは欧州の主権を確立し、(域外への)依存を減らして、2030年に向けた新たな成長と投資のモデルを設計するために、もう一歩進んで幾つかの断固とした措置を講じると決めた」と指摘した。
今回のEU首脳会議では、新型コロナウイルスのパンデミックの下で確保に難航した半導体と医薬品の内製化や、食料安全保障、共通防衛政策といった問題も協議する予定だ。

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