訂正(12日配信記事)-台湾、コロナ警戒水準引き上げも 株価急落

[台北 12日 ロイター] - 台湾の陳時中・衛生福利部長は12日、新型コロナウイルスの警戒水準を「数日中」に引き上げる可能性があるとの見方を示した。引き上げられれば、必需品を扱わない店舗の休業などを含む規制が導入される。中央通信社が報じた。台湾では域内の感染が増加している。
台湾は11日、感染経路が不明の新型コロナ感染が6件報告されたとして、集会の制限を強化すると発表した。
陳氏は立法院で、状況は「非常に深刻だ」と指摘し、警戒水準を1段階引き上げて「3」にする可能性があると述べた。非必須事業が休業となるほか、屋内の集会は5人、屋外は10人に制限されることになる。
「わずかにでも抑制に失敗すれば、直ちにレベル3に入る」とした。その後、記者団に対し「数日中」に決定する可能性があると語った。
蔡英文総統は、12日午後に新型コロナについて記者会見を行う。
感染者増加を巡る懸念から、台湾株式市場の加権指数は8%超下落した。
台湾の群益期貨のアナリスト、容逸栄氏は「レベル3に引き上げられれば多くの企業が営業できなくなり、レベル4になれば学校とオフィスが閉鎖される」と指摘。「短期的にパニック売りの圧力が生じている」とした。
台湾財政部(財務省)の阮清華(フランク・ジュアン)次長(訂正)は、株式市場と経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)は健全だと強調し、「投資家は平静を保ち、信頼感を持つべきだ」とロイターに語った。
その上で、状況が悪化した場合、株式市場の急激な変動に対応する市場介入に当局が活用できる国家金融安定基金(国安基金)の会合を開く可能性は排除しないと語った。
ANZのアジア調査責任者、クーン・ゴー氏は、コロナ規制が半導体生産に影響を及ぼす可能性が浮上したことが、ハイテク株への売り圧力で既に神経質になっていた投資家を動揺させたと分析。「感染者数はかなり少ないが、投資家が慎重になる状況なのは明らかだ」とし、輸出主導型の業種に規制の影響が及ぶとは想定していないが、投資家は安全策を取っているため、売りが膨らんでいると語った。
台湾はパンデミック(世界的大流行)の早い段階で入境を制限し、しっかりとした接触者追跡と隔離のシステムを確立。感染者は1210人、死者は12人に抑え込んでいる。
警戒水準は「4」が最高で、可能な限りの自宅待機が求められるなど実質的なロックダウン(都市封鎖)となる。これまでにこのレベルになったことはない。

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