フォトログ:アマゾン森林火災で傷つく野生動物、懸命の治療

フォトログ:アマゾン森林火災で傷つく野生動物、懸命の治療
9月7日、「シータ」と名付けられた、悲しげな茶色の目をした小さなサル(写真)は、生まれたばかりの子ザルをしっかりと抱きしめている。ブラジル・ポルトベーリョの動物病院で8月撮影(2020年 ロイター/Ueslei Marcelino)
Ueslei Marcelino
[ポルトベリョ(ブラジル) 7日 ロイター] - 「シータ」と名付けられた、悲しげな茶色の目をした小さなサルは、生まれたばかりの子ザルをしっかりと抱きしめている。どちらも生き延びるために闘っている。
アマゾン川流域の都市ポルトベリョにあるクリニドッグ動物診療所の獣医たちは、この母子は、世界最大の熱帯雨林であるアマゾンで猛威を振るう森林火災から逃れる途中、自動車にひかれたものと考えている。
診療所のオーナーであるカーロス・エンリケ・ティブルシオ氏は、2匹を小さな白い布でくるみながら、「母ザルは血まみれの状態で、怯えて鳴きながら運び込まれた」と語る。
地球上で最も多様性に富む生息地域の1つであるアマゾンの生物たちは、伐採事業者や農園経営者がこの熱帯雨林の奥へ奥へと進出するなかで、ますます深刻になる脅威に直面している。
乾季になれば、農園経営者や土地投機筋が、伐採された森林地域を耕地にするために火を放つ。だが、渦巻く風や乾燥した枝葉のために炎は制御不能になることもあり、野生動物は煙と炎から逃げ惑う。
衰弱し死に瀕した動物たちが担ぎ込まれるティブルシオ氏の動物診療所では、その命を救うために4人のボランティアが休むことなく働いている。
「この季節には雨が降らないせいで森林火災が絶えない。動物たちは死を逃れようと必死に避難場所を探し、結局この街にたどり着くが、交通事故や捕獲のリスクに直面する」とマルチェロ・アンドレアーニ氏は言う。彼の仕事は、傷ついた動物を救出して、この動物病院に搬送することだ。
州環境保護局に勤めるアンドレアーニ氏は、「自然に対する人間の畏敬の念は失われつつある」と嘆く。
治療チームは、ロンドニア州産のマーモセットであるシータに外傷性の脳損傷があると診断した。シータは布でくるまれ、餌を与えられ、症状はゆっくりと改善している。残念ながら、子ザルの方は生き延びられなかった。
診療所に担ぎ込まれたアリクイは、獰猛なヤマアラシとの戦いで左前脚を骨折していた。この個体はガレージに隠れているところを発見されたもので、獣医たちはやはり森林火災から逃れてきた可能性があると考えた。アリクイが街に姿を現すことはめったにないからだ。
骨折の治療には手術が必要だった。麻酔を施されると、アリクイの口からは巨大な舌がだらりと垂れ下がったので、「長い舌」を意味する「リングアルダ」という愛情を込めたニックネームがつけられた。
手術の後、回復の様子を慎重に観察するため、獣医の1人がリングアルダを自宅に連れ帰った。あるときなど、リングアルダは浴室の洗面台によじ登って寛いでいた。
5日も経つうちに、リングアルダは自然に戻されても大丈夫なほど元気になった。救出時の状態を考えれば、これ以上望むべくもない結果である。
「何とか命を救えたときは、個人的にも、職業上の観点からも、とても大きな満足感がある。特に、リハビリに成功して自然に帰すことができたときは」とティブルシオ氏は言う。
「私は空を見上げて、『主よ、あなたの僕(しもべ)として私が働けるようにしてくださったことに感謝いたします』と祈る」
リングアルダは森林中の獣道の近くで放され、再び、木々のあいだを懸命に登っていった。

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