ブログ:米ハリケーン、取り残された犬たちを救助

ブログ:米ハリケーン、取り残された犬たちを救助
 9月19日、大型ハリケーン「フローレンス」が米ノースカロライナ州に上陸してから3日後、ロイターカメラマンは住民が避難する教会に向かう救助ボランティアに同行。すると、向かいの敷地の奥から犬の鳴き声が。同州リーランドで16日撮影(2018年 ロイター/Jonathan Drake)
Jonathan Drake
[リーランド(米国) 19日 ロイター] - 大型ハリケーン「フローレンス」が米ノースカロライナ州に上陸してから3日後、私はウィリントンや南部地域の被害状況を取材していた。そのとき、押し寄せる洪水を逃れるため住民が避難しているリーランドの教会に救助ボランティアが向かうとの情報を耳にした。
洪水の水は濁って深いため、ピックアップトラックでも道路標識が見えず、運転するのは困難だった。だが、ハリケーンなどの取材経験や優秀な防水長靴があれば、水深や現在の威力を慎重にはかることができ、まだ語られぬ被害の取材を続けることが可能だ。
ライアン・ニコルズさんとデービッド・レボラーさんは、洪水で身動きがとれなくなった人や動物たちのもとへ別の方法でたどり着いた。テキサスの自宅から被災地までボートを運んだのだ。ノースカロライナの場合、1600キロ以上の距離がある。
昨年ヒューストンを襲ったハリケーン「ハービー」に耐えた経験を持つ元海兵隊員の2人は、災害に見舞われた人々を助けようと懸命だ。
わずかな乾いた土地からボートを水に浮かべたこの日、道路がなんとか確認できたのは水上から突き出た高さ2メートル程度の標識のおかげだった。私と同僚はニコルズさんのボートに乗せてもらい、約300メートル先の教会に向かった。
カミアリの巣が流れてくるおもちゃのそばで小さな島を作っていた。原型をとどめていない遊具や木や墓石、悲しげな彫像などが水面に浮かんでいた。
ニコルズさんが教会で人々と話している間、向かいの敷地の奥から犬の鳴き声がずっと聞こえていた。彼は見に行き、まもなく戻ってくると、「彼ら」が閉じ込められており、急いで助けるべきだと語った。
私たちはひざまで水に浸かりながらその場所へ行くと、おりに閉じ込められた3匹の犬を発見した。2匹は後ろ脚で立ち上がり、もう1匹は首まで水に浸かっていた。3匹とも震え、おびえて、必死におりから出たがっていた。
ニコルズさんはおりを開け、犬たちを落ち着かせようとした。実際には、3匹ではなく6匹が飛び出してきた。半数は泳いで、残りの半数は水の中を跳ねるように近くの乾いた地面にたどり着いた。私は彼らの高さに合わせてカメラを構えた。
近所の人がドッグフードを見つけ、犬たちはそれをむさぼり食った。
近くに助けを必要としている人が増えると、ボランティアや地元住民は犬のためにたくさんの食べ物を残すことを決め、彼らがより高い場所で歩き回れるようにした。地元当局にも連絡がつくようになり、彼らのことを伝えることができた。
その後、数時間で洪水の水位は上昇。水が引き始めたのは翌日になってのことだった。ニコルズさんが犬たちの様子を見に戻ると、犬の飼い主に出会った。彼女は、幼い子どもたちを連れて急いで避難しなければならず、犬の様子を見てもらうよう頼んだ人は洪水を理由に行くのを断ったと語った。

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