米、7月から対中関税導入 総額500億ドル規模 中国も対抗措置発表

米、7月から対中関税導入 第1弾340億ドル規模 中国も対抗措置へ
トランプ米大統領は15日、中国からの総額500億ドルに上る知的財産権およびハイテクに関連する製品に対し25%の輸入関税をかけると明らかにした。北京で昨年11月撮影(2018年 ロイター/DAMIR SAGOLJ)
[ワシントン/北京 16日 ロイター] - トランプ米大統領は15日、中国からの総額500億ドルに上る知的財産権およびハイテクに関連する製品に対し25%の輸入関税をかけると明らかにした。これに対し中国も同規模の対抗措置を導入すると発表。米中の貿易戦争が激化する様相を見せている。
トランプ大統領は、自動車などを含む戦略的に重要な中国からの輸入品800品目余りのリストを公表。7月6日から25%の関税を課すことを明らかにした。
これに対し、中国商務省は16日、「同様の規模と威力」の関税で対抗すると発表。新華社通信によると、大豆や自動車、海産物など総額500億ドルの米製品659品目に対し25%の輸入関税を課す。340億ドルの農産品、自動車などには7月6日から適用し、他の品目については後日に発表する。
トランプ氏は声明で「中国が米国の製品、サービス、農産物に新たな関税を課すほか、米輸出業者や中国で事業活動をする米企業に対して非関税障壁を引き上げたり、懲罰的措置を取るといった報復措置に出れば、米国は追加関税を導入する」と強調した。
中国商務省は先にウェブサイトに掲載した声明で、米国の措置は米中両国の国益を損ない、世界の貿易の秩序を乱すものとの認識を表明。「中国は貿易戦争を望んでいないが、 米国の近視眼的な行動により、中国には強い対抗措置を取る以外の選択肢はない」とした。
また「両国間がこれまでに行った交渉で得られたすべての結果は無効となる」とした。
米通商代表部(USTR)は第1弾として、7月6日付で340億ドル相当の中国からの輸入品に対して関税を適用する。パブリックコメントの結果、4月初めに公表した当初の対象品目から約515品目を除き、まず818品目に絞った。フラットパネルテレビなど消費者向け製品が第1弾の対象からは除外される一方で、米ゼネラル・モーターズ(GM)や中国の吉利汽車(ジーリー)傘下のボルボが輸入する製品は含まれる。
USTRは第2弾として、半導体や幅広い電化製品、化学製品を含む160億ドル相当の284品目にも追加関税を課す方針。中国の製造業振興長期計画である「中国製造2025」の下で製造される製品などが対象となる。トランプ大統領は、中国製造2025計画については「中国の将来的な経済成長の機動力となるが、米国を含むその他の多くの国の経済成長を阻害する」と述べた。
第2弾はパブリックコメントを経て、適用時期が今後設定される。政権高官は、中国以外から調達できない品目については例外適用を申請できるという。
USTRのライトハイザー代表は声明で「中国政府は不公正な貿易慣行や『中国製造2025』のような政策を通じ、米ハイテク業界やわれわれの経済的主導権を積極的に弱体化させようとしている」と指摘。
「技術や革新は米国の偉大な経済的資産であり、トランプ大統領は、わが国が将来の繁栄を得たいなら、公正な貿易を守り米国の競争力を保護するために今立ち上がる必要があると正しく認識している」と述べた。
UBSウェルスマネジメントの中国エコノミスト、Yifan Hu氏は、米中の貿易対立が長期化するとの見方を示し、「貿易を巡る小競り合いは貿易赤字や為替レートだけではなく、貿易ルールや市場の開放性、知的も含む。また、価値観やガバナンス、地政学的不一致にも関連する」と述べた。
*内容を追加します。

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