米下院、国境の壁巡る大統領拒否権覆せず 共和党の造反わずか

米下院、国境の壁巡る大統領拒否権覆せず 共和党の造反わずか
 3月26日、米議会下院は、トランプ大統領がメキシコ国境の壁建設費確保に向けて発令した国家非常事態宣言を巡り、議会の宣言無効決議に対して大統領が発動した拒否権を覆すための採決を行ったが、必要な票数を集めることができなかった。ニューメキシコ州サンタテレサで5日撮影(2019年 ロイター/LUCY NICHOLSON)
[ワシントン 26日 ロイター] - 米議会下院は26日、トランプ大統領がメキシコ国境の壁建設費確保に向けて発令した国家非常事態宣言を巡り、議会の宣言無効決議に対して大統領が発動した拒否権を覆すための採決を行ったが、必要な票数を集めることができなかった。
大統領の拒否権発動を覆すには少なくとも3分の2の賛成票が必要。民主党が過半数を握る下院で民主党議員234人に同調した共和党議員は14人にとどまり、採決結果は248対181と、拒否権を覆すには至らなかった。
民主党のペロシ下院議長は「米国の建国者は君主制を否定し、民主主義を追及した」とし、「われわれは米大統領ではなく、憲法に忠誠を誓う」と述べた。ただ共和党は、トランプ大統領の行動は1976年に成立した国家非常事態法(NEA)にのっとり合法的との立場を示している。
バー司法長官は24日、2016年米大統領選へのロシア介入疑惑を巡る捜査でモラー特別検察官がトランプ陣営とロシアの共謀を認定しなかったと表明。これによりトランプ大統領の立場が強くなり、国境の壁を巡る非常事態宣言を含むさまざまな問題で共和党議員がトランプ氏に反対することが難しくなっているとみられる。
共和党のトム・コール議員は採決前、モラー特別検察官の報告書は国境の壁を巡る非常事態宣言と何の関係もないが、トランプ氏の「力と人気の拡大につながり、立場が一段と力強くなった」と述べていた。
ただ、トランプ氏の国家非常事態宣言を巡っては16の州が連携して訴訟を起こすなど複数の訴訟が起こされており、法廷でも争いは続いている。

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