米大統領「北朝鮮で完全な非核化開始」、当局者は証拠確認できず

北朝鮮が兵器施設爆破、米兵遺骨返還も進展=トランプ大統領
 6月21日、トランプ米大統領は、北朝鮮が兵器実験施設を爆破していると語った(2018年 ロイター/Kevin Lamarque)
[ワシントン 21日 ロイター] - トランプ米大統領は21日、ホワイトハウスでの閣議で、北朝鮮が兵器用の大規模な実験施設4カ所を爆破し、「完全な非核化がすでに始まった」との認識を示した。
ただ、当局者によると、6月12日の米朝首脳会談以降で、実験場の解体に向けた新たな動きを示す証拠は確認できていない。
大統領は閣議で「(北朝鮮は)弾道ミサイルを含めたミサイルの発射を中止した。エンジン施設を破壊し、爆破している。実際には大規模な実験施設4カ所をすでに爆破した」と語った。
大統領が北朝鮮のどの実験施設に言及したかは不明。だが、北朝鮮の核・ミサイル実験場に関する最新情報に詳しい複数の米当局者は、米朝首脳会談以降で、実験場の解体に向けた新たな動きを示す証拠はないとしている。
これらの当局者が匿名を条件に語ったところでは、トランプ大統領は、北朝鮮が5月に行った豊渓里(プンゲリ)核実験場の坑道爆破や、同じく5月に行われたIha-ri実験場の中距離弾道ミサイル発射台の解体を指している可能性がある。
マティス米国防長官は20日、北朝鮮が米朝首脳会談以降、非核化に向けた何らかの行動を取ったかと記者に問われると、「把握していない」と回答。「非核化に向けた手続きはごく初期段階にあり、具体的な協議は始まっていない」と述べた。
21日の閣議でマティス長官はトランプ大統領の隣に座っていた。
国防総省とホワイトハウスは大統領の閣議での発言に関するコメントの求めに応じていない。
ワシントンを拠点とする北朝鮮分析サイト「38ノース」は先週末のリポートで、北朝鮮がミサイル実験場の解体に向けて動いている兆しはないと分析していた。
国務省は、12日の米朝首脳会談以降に北朝鮮当局者と連絡を取っていることを明らかにした。同省のナウアート報道官は、ポンペオ国務長官が「できるだけ早期に北朝鮮当局者と会談し、協議する」と述べたが、詳細には踏み込まなかった。
大統領はまた、朝鮮戦争で死亡した米兵200人の遺骨返還に向けたプロセスが進んでいると閣議で発言。前日には、遺骨は返還されたと語っていた。
米当局者2人は、北朝鮮が向こう数日中に遺骨を返還する見込みだが、まだ返っていないと説明した。
米軍のデータによると、朝鮮戦争で約7700人の米兵が依然行方不明となっている。この戦争で米兵3万6500人以上が死亡した。
*内容を追加しました。

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