コラム:英ロイヤルウエディング、48億円の費用に見合う価値
Neil Unmack
[ロンドン 18日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 英国のヘンリー王子と米女優メーガン・マークルさんのロイヤルウエディングにはばく大な費用がかかるが、その価値はある。
19日の挙式には約3200万ポンド(約48億円)の税金投入が見込まれるが、英米の結束を深めるこの度の結婚により、英国を訪れる米国人観光客が少しでも増えるならば、この費用は簡単に回収できる。
元軍人の王子とテレビドラマ「スーツ」の人気スターの結婚式は高そうに見えるに違いない。英国では、市民の約5人に1人が王室の廃止を支持すると答えている。
結婚費用の総額は明らかにされていないが、ウエディングプランナーのブライドブックは3200万ポンドと試算している。王室は花やケーキといった費用を負担するが、エリザベス女王の孫であるヘンリー王子とその花嫁、親族やゲストの警護ためのセキュリティー対策が挙式費用のほとんどを占める。
だが、挙式がもたらすであろう結果を考えれば、それは大したことではない。アメリカの女優と英国女王の孫息子が馬車に乗ってウィンザーの町をパレードする映像をしのぐ観光PRを思いつくのは難しい。英国政府観光庁による直近の2016年データによると、米国人観光客による英国訪問数は約156万件に上り、約14億3000万ポンド消費したという。
たとえロイヤルウエディングによって米国人観光客の訪問数が2%しか伸びなかったとしても、それで得られる収入は結婚費用を上回る。あるいは、現在英国を訪れている米国人が、マグカップやビスケット缶などの結婚記念グッズに平均20ポンド分の消費を増やせば、挙式費用の足しになる。
もしヘンリー王子の主な動機が観光客の招致だったとすれば、中国人の花嫁を選べばさらに好結果が望めただろう。2016年、中国人観光客による英国訪問数はわずか12万件にすぎないが、平均すると米国人観光客よりカネを落としている。
今回の結婚は、衰退する英国ソフトパワーの強化を後押しするに違いない。欧州連合(EU)離脱決定後の政治的混乱は、英国のイメージを損ねた。ヘンリー王子の花嫁選択は、英国王室ほど古い体制であっても変化を受け入れることを世界に示した。そのようにポジティブなPRに値段をつけるのは困難だ。
*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
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