アングル:香港で再び大規模デモ、参加者に聞いた闘う理由

アングル:香港で再び大規模デモ、参加者に聞いた闘う理由
 12月8日、政府への抗議活動が6カ月に及ぶ香港で大規模なデモが再び実施された。写真は「五大要求」を掲げて行進するデモ参加者。12月8日撮影(2019年 ロイター/Thomas Peter)
[香港 8日 ロイター] - 政府への抗議活動が6カ月に及ぶ香港で8日、大規模なデモが再び実施された。主催した民主派団体「民間人権陣線(民陣)」の発表によると、参加者は80万人。 11月の区議会議員選挙で民主派が大勝して以降、最大規模となった。
彼らはどのような思いでデモに参加したのか。動機は様々だが、複数の参加者から「普通選挙の実施」を求める声が聞かれた。
発言者に影響が出るのを避けるため、以下ではファーストネームだけを表記している。
◎ローレンスさん(23) 大学生
「抗議活動は半年続いています。もうすぐクリスマスだけど祝う気持ちにはなれないので、香港市民の望みはもうモノを持つことではなく、普通選挙なのだと示すためにこのプラカードを持ってきました。僕らは皆、普通選挙という共通の目的のために闘ってきました」
ローレンスさんは「2020年の抱負は普通選挙」と書かれたプラカードを持って語った。
◎タンさん(15) 高校生
「僕は最初、表に出られるほど強くないと思っていたけど、どんなに小さくても全員が来るべきだと思い始めました。警察がデモ隊にひどい仕打ちをしていることや、性的虐待、理由もなしに催涙ガスを発射することに怒っています」
タンさんは黒いフェースカバーをかぶっていた。
「両親も僕を応援しています。ただ、気をつけてねと言ってくれました」
◎ホーさん(40代)
40代のホーさんは、夫と小さい子供3人とともにデモへ参加した。
「私の家族は学ぶ必要があります。自分が受け継いできたものを知り、香港市民であることの意味、この活動に参加することの意味を知るべきです」
「40歳を越えた者として、我が子の自由のために闘ってくれている若いデモ参加者に、十分な支援ができていません。だから、できるだけのことをしなければ。私たちは香港に住み続けたいし、子どもたちには自分と同じような自由を得て、自分の権利を知ってもらいたい」
◎アーネストさん(16) デモのシンボルである黒服を着用
「今日立ち上がらなかったら、もう発言する機会は無くなってしまうでしょう。本当の中国になってしまって、抗議の機会も奪われます」
「キャリー・ラム(林鄭月娥行政長官)には、五大要求に答えてもらう必要があります。答えるまで抗議を続けます」
◎トーさん(40)
「私たちには行進することしかできません」
「こんなに多くの国々が、香港の出来事に注目してくれていると聞いてうれしいです。元気が出ます」
◎マシューさん(21)
「ご覧の通り準備万端です(全身黒装束で、手袋も着用)。でも、政府をたたくには平和的なやり方がベストだと思っていますよ」
「こんな格好をしているのは何か計画があるからではなく、ただ、警察が何かしてきた時に備えたいからです。警察と闘うことはできなくても、れんがを投げたりバリケードを作ったりして、動きを遅らせることはできます。市民が避難するのに十分な時間を確保するつもりです」
◎さくらさん(37) 日本から訪問
「これは香港だけの問題ではなく、国際的な問題です。今日は香港、明日は日本。だから今日の抗議デモを応援するため、日本からわざわざ来ました。日本、台湾、香港を守りたい。私たちは密接につながっているから、私は香港市民と同じ気持ちだし、香港のために立ち上がります」
◎ジューンさん(40) 母親
「私は香港市民なので、死ぬまで自由のために闘います。今日は香港、そして国際社会とともに立ち上がる日です」
◎ケイ(20) 大学生
「今日の参加者は200万人(6月の参加者数)を超えるでしょうね。多くの友達が初めて参加すると言っていますから。警察が抑圧を強めれば強まるほど、市民は力強く反撃しますよ。警察は政府の駒にすぎず、もっと重要なのは普通選挙です」
◎ロイタさん(60)
「この歳ですから、天安門事件を経験しています。あの時、私たちは若者のために闘うほど強くなかった。だから今日はやって来ました。香港はもっと民主的に、もっと自由に、平和になってほしい」「これ以上金を儲けたいとは思いません。もっと自由がほしいのです」
◎チャンさん(22) チベット旗を掲げる
「香港市民は、チベットのことも支援していることを示したいのです。私たちは皆、CCP(中国共産党)の犠牲者です。チベットの歴史が今ここで繰り返されていますよね」
◎リーさん(40代) 事務員
「私はここに住み、ここで生まれ、社会がすっかり変わり、法制度が壊れたのを目の当たりにしました。大きなデモには、なるべく参加するようにしています」

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