日銀総裁、世界経済の見通し悪化に警鐘 自由貿易の重要性強調

日銀総裁、世界経済の見通し悪化に警鐘 自由貿易の重要性強調
 10月14日、黒田東彦日銀総裁(写真)は、貿易摩擦の激化や振興市場の動揺、一部の国にみられる債務増大について触れ、かつてないほど強い調子で世界経済の見通し悪化を警告した。当地での国際通貨基金(IMF)と世界銀行の会合の合間に開催されたセミナーで発言した(2018年 ロイター/Johannes P. Christo)
[ヌサドゥア(インドネシア) 14日 ロイター] - 黒田東彦日銀総裁は14日、貿易摩擦の激化や振興市場の動揺、一部の国にみられる債務増大について触れ、かつてないほど強い調子で世界経済の見通し悪化を警告した。当地での国際通貨基金(IMF)と世界銀行の会合の合間に開催されたセミナーで発言した。
総裁は、世界の政策担当者らが「自由貿易の重要性について認識を再確認して」対話を継続するよう求め、保護主義の一段の台頭は、貿易や企業信頼感、世界経済の成長に悪影響を及ぼすと警告した。
「世界的な価値の連鎖を通じて世界経済は相互依存を強めており、保護主義的な動きにもっと注意を払うべきだ」と述べた。
また、世界経済の成長鈍化懸念から先週、世界の株式市場が急落したことを受け、市場の動向に注意を払うよう呼びかけた。
同総裁は、振興国は市場の動揺に対して十分なバッファーを備えており、深刻なストレスは一部の国に限定されているが、膨大な債務を抱える国には注意を向ける必要がある、と付け加えた。また、貿易摩擦などの政治的リスクも重要視されつつあると指摘した。
日本については、来年予定される消費税引き上げが経済に多大な悪影響を及ぼす可能性は小さいとし、景気回復を確実にするため実施を延期するとの一部アナリストらの見方を否定。「現時点で、経済に大きなマイナスの影響を与えることはない」と述べた。

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