マケイン氏追悼の半旗に二転三転、トランプ大統領の対応に批判

マケイン氏追悼の半旗に二転三転、トランプ大統領の対応に批判
 8月27日、米ホワイトハウスは、共和党重鎮のジョン・マケイン上院議員の死去を受け、国旗を半旗にしたり、それをまた戻したりした揚げ句、再び半旗に戻した。写真左は26日朝、ワシントンのホワイトハウスで半旗掲揚された米国旗。同中央はそれから24時間もたたない27日、元の最上位に戻された国旗。同右は27日午後、再び半旗掲揚された国旗(2018年 ロイター/Joshua Roberts, Kevin Lamarque and Leah Millis)
[ワシントン 27日 ロイター] - 米ホワイトハウスは、共和党重鎮のジョン・マケイン上院議員(アリゾナ州選出)の死去を受け、国旗を半旗にしたり、それをまた戻したりした揚げ句、27日に再び半旗に戻した。国家的指導者が逝去した場合の手順を破り、異例の混乱が生じている。
マケイン氏はベトナム戦争に従軍し、捕虜となった経験を持つ。退役後に政界入りし、2008年の米大統領選に出馬、オバマ前大統領に敗れた。脳腫瘍を患っていた同氏は25日、81歳で死去した。訃報を受け、多くの米国民が同氏に哀悼の意をささげ、半旗掲揚した。
だが、マケイン氏とさまざまな問題を巡って対立していたトランプ大統領は、2016年の大統領選挙活動中に、「戦争の英雄ではない」と批判した経緯などもあり、歴代大統領が通常、弔意を表する方法を追随することに迷いを見せた。
ホワイトハウスではマケイン氏を追悼する半旗を25日に掲げたものの、早々と元に戻した。トランプ大統領は半旗を2日以上掲げるよう指示する慣例的な宣言を出すのも遅れていた。
最終的に、退役軍人や議員らのプレッシャーを受けたトランプ大統領はようやく27日になって、マケイン氏の国家への貢献に敬意を表し、半旗掲揚することを指示したと声明で明らかにした。
「政策や政治における見解の不一致にかかわらず、マケイン氏の米国への奉仕に尊敬の念を抱いている。マケイン氏に敬意を表し、葬儀が終わるまで米国旗の半旗掲揚を実施する宣言に署名した」と大統領は声明で語っている。
米国在郷軍人会はフェイスブックに載せたトランプ大統領への書簡の中で、「著名な政府当局者が死亡した場合の伝統的な慣例に従う」ようホワイトハウスに求めていた。米国在郷軍人会はマケイン氏を「大切な一員」だとしている。
マケイン氏に関して浴びせられた数々の質問を一日中無視していたトランプ大統領は翌27日の夜、ホワイトハウスで開かれたキリスト教福音派の指導者の集まりで沈黙を破った。
「ジョン・マケイン上院議員の家族にお悔やみを申し上げる。マケイン議員が国のためにしてくれた全てに、われわれはとても感謝している」とトランプ大統領は語った。
連邦政府では同日、ほぼ終日混乱が見られた。米連邦議会議事堂や多くの国立公園では半旗が掲げられた一方、国防総省や連邦最高裁判所では国旗は通常通りに掲げられていた。
国土安全保障省は半旗掲揚するよう政府全体に通知したが、27日にそれを撤回し、各施設の職員に判断が委ねられることになったと、ある当局者は明かした。
<「ショッキング」>
米国大統領は通常、有力議員が死亡した際には議会の先導に従い、埋葬される日の日没まで半旗掲揚することを命じる。反トランプ支持者は、大統領の消極的な態度について、マケイン氏に対する最後の侮辱と捉えている。
「葬儀まで半旗掲揚を命じない大統領など、前例がないのではないか」と、カリフォルニア大学ワシントンセンターの歴史学教授、ジョン・ローレンス氏は指摘する。
「議会とホワイトハウスの政策の違いは明らかに目立っており、幾分ショッキングですらある」とローレンス教授は語った。
マケイン氏は生前、トランプ大統領をしばしば批判しており、大統領の葬儀への参列を同氏が望んでいなかったと遺族は明らかにしている。
遺族の代理人はマケイン氏によるお別れの言葉を発表。その中で同氏は、米国について次のように語っている。
「愛国心と対抗意識を混同するとき、われわれは自身の偉大さを弱めることになる。壁を壊すのではなくその後ろに隠れるとき、そして変化に必要な偉大な力であり続けてきた、われわれの理想の力を信頼せずに疑うときも、それを弱めることになる」
*写真を更新し、内容を追加します。

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