欧州市場サマリー(18日)

[18日 ロイター] - <ロンドン株式市場> 続落して取引を終えた。米中間の貿易摩擦が不安視された。通商政策に左右される傾向のある国際的な銘柄の値下がりが目立った。
トランプ米大統領は15日、500億ドル規模の中国からの輸入品に関税をかけると発表。7月6日より、自動車など800項目超に25%の関税を課すこととなる。これに対して中国は「同じ規模、同じ強さの追加関税措置を出す」とし、米国とのこれまでの通商の取り決めは「無効だ」との声明を出した。
酒造大手ディアジオや日用品メーカーのレキット・ベンキーザー、ブリティッシュ・アメリカン・タバコなど、高関税の影響を受けやすい国際的な生活必需品銘柄が値を下げた。
一方、石油銘柄は序盤にマイナス圏で取引された後、プラス圏に転じて取引を終えた。22日から始まる石油輸出国機構(OPEC)総会を控え、原油価格が上がったことが背景にある。総会では増産が見込まれている。原油はそれまで、中国が米国産原油に関税をかけると主張する中で値下がりしていた。
エネルギー銘柄が相場を下支えする形で、FTSE100種は欧州株式相場と比べて下げ幅が限定的だった。また、ポンド安が輸出銘柄の追い風となった。
中型株では、航空・防衛部品のコブハムが4.6%上昇した。モルガン・スタンレーが投資判断を「イコールウェート」から「オーバーウェート」に引き上げたことが好感された。モルガン・スタンレーは「現在の経営陣の下、業績が安定したとみる」と評価した。
製薬会社インディビアは1.6%高だった。米連邦地裁が、同社の主力オピオイド依存症治療薬について、インドの競合ドクター・レディーズ・ラボラトリーズによる後発医薬品(ジェネリック)の販売差し止めを命じる仮差し止め命令を出したことが買い材料となった。
<欧州株式市場> 続落して取引を終えた。米国と中国が貿易戦争に突入するとの懸念が相場の重しとなった。
トランプ米大統領は前週末、中国の輸入品に関税をかけることを決め、再び貿易摩擦が強まった。中国は米発表後すぐさま米国製品に同額の報復関税を課すと表明した。
ドイツのクセトラDAX指数は1.36%低下し、ほかの株式市場と比べて大きく値下がりした。ドイツの移民政策を巡る危機により、成立して3カ月の連立政権が崩壊する可能性が懸念されている。
ネットワークインフラの総合電線メーカー、フランスのネクサンスは16.0%下落した。高電圧事業が「唐突に悪化した」とし、通期の利益が減るかもしれないと警告した。イタリアの競合、プリズミアンは1.6%の連れ安となった。
一方、格安航空会社(LCC)のノルウェー・エアシャトルは10.1%急上昇した。ドイツの航空大手ルフトハンザがノルウェー・エアシャトルの買収に関して同社と接触していることを明らかにしたことが買い材料だった。
<ユーロ圏債券> 国債利回りがおおむね横ばい、もしくはやや低下して推移した。欧州中央銀行(ECB)が前週の理事会で債券買い入れ策終了後も長らく金利を低水準に維持する方針を示したことが利回り上昇の抑制要因となっている。
このほか、米中貿易摩擦を巡る懸念が高まっていることが安全資産としてのユーロ圏国債の利回りを抑える要因にもなっている。ただこの日からポルトガルのシントラで始まったECB年次フォーラムに市場の注目が集まる中、商いは薄くなっている。
ECB年次フォーラムには米連邦準備理事会(FRB)や日銀の当局者らも参加。この日はドラギECB総裁も講演を行う。
独10年債利回りは横ばいの0.40%となっている。南欧諸国の国債利回りも低下し続けており、イタリア2年利回りは0.56%と11ベーシスポイント(bp)低下。イタリア10年債、スペイン10年債、ポルトガル10年債利回りは4─6bp低下している。
ECBは前週の理事会で、量的緩和策の年内終了を決定すると同時に、金利は少なくとも2019年「夏にかけて」現行水準にとどまるとの見通しを示した。
みずほの金利戦略部門責任者、ピーター・チャットウエル氏は、ECB年次フォーラムで20日にECBのドラギ総裁、米FRBのパウエル議長、日銀の黒田東彦総裁がそろって講演することに言及。「ECBが金利の道筋のほか、金利がどの程度速く上昇する必要があるかについてメッセージを発するだけで市場は居心地の悪さを感じる可能性がある」とし、「リスクは存在している」と述べた。

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