メキシコ、貿易摩擦悪化なら米国産トウモロコシや大豆に関税も=当局者

メキシコ、貿易摩擦悪化なら米国産トウモロコシや大豆に関税も=当局者
 6月14日、メキシコ政府は、トランプ米政権が新たな関税を導入し貿易摩擦が深刻化する場合、米国から輸入するトウモロコシや大豆に関税を課す可能性があり、それに伴う国内への悪影響を軽減する措置も検討している。写真アメリカから輸入されたトウモロコシを運ぶ作業員。2月にメキシコのトゥスパンで撮影(2018年 ロイター/Henry Romero)
[メキシコ市 14日 ロイター] - メキシコ政府は、トランプ米政権が新たな関税を導入し貿易摩擦が深刻化する場合、米国から輸入するトウモロコシや大豆に関税を課す可能性があり、それに伴う国内への悪影響を軽減する措置も検討している。複数のメキシコ政府当局者が今週、ロイターに語った。
メキシコ政府は今月初め、米国が同国に対し鉄鋼・アルミニウム輸入関税を導入すると、直ちに報復措置を発表。米国からの鉄鋼・豚肉・リンゴなどに関税を適用するとした。
ただ、家畜の飼料に使うトウモロコシや大豆などの穀物は関税対象に含まなかった。
米国産トウモロコシの最大の輸出先はメキシコ。同国の米国産トウモロコシと大豆の年間輸入額は40億ドルに上る。
こうした飼料用穀物への関税導入は米国の農家だけでなくメキシコの農家にも打撃となるため、最終手段といえる。ただ、メキシコはすでにブラジルやアルゼンチンなど米国以外からの穀物輸入を増やしており、米国産穀物への関税導入の影響を軽減することは可能だ。
メキシコの農業ロビー団体代表、ボスコ・デ・ラ・ベガ氏によると、今月4日に経済省で行われた会合で米国産穀物への関税が協議され、グアハルド経済相も会合に出席していたという。
デ・ラ・ベガ氏は、穀物への関税は、米国との貿易摩擦が危機的状況に陥った場合の策として「あえて残された」との考えを示した。米国以外からの穀物輸入を増やし、米国産穀物への高関税の影響を相殺するため、無税の輸入枠を設ける可能性について経済省で検討中だという。
同氏はまた、穀物関税は米国の「コーンベルト」に打撃を与えるものだと指摘。同地域を構成するミズーリ、カンザス、アイオワ、ネブラスカなどの州はいずれも2016年大統領選でトランプ氏への票が多かった。
デ・ラ・ベガ氏は、メキシコが穀物関税を検討し警戒を強める理由は、トランプ政権が国家安全保障を理由に自動車や自動車部品に関税を課して輸入を制限するための調査を開始したことにあると述べた。輸入制限が発動されれば、メキシコの自動車産業が打撃を受けかねない。
メキシコ農業省の国際貿易責任者ラウル・ウルテアガ氏は、メキシコは「現時点で」米国産穀物を関税対象としていないと説明。その上で、代替的な輸入先を探しているとも述べ、将来的に米国産穀物に関税を課す可能性を排除しなかった。
同氏は、昨年に国内の穀物バイヤーを率いてブラジルとアルゼンチンを訪問したことについて、米国に代わる穀物輸入先を開拓することが狙いだったと明らかにした。
メキシコ経済省の当局者は、米国産穀物への関税導入を検討しているかどうか明らかにしなかった。

私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」, opens new tab