ブログ:トランプ大統領、就任1年を彩る「抗議と論争」

ブログ:トランプ大統領、就任1年を彩る「抗議と論争」
 2017年1月20日の就任から24時間もたたないうちに、トランプ米大統領は大きな論議を呼んだ。写真は大統領執務室で4月、ロイターのインタビューに応じるトランプ大統領(2017年 ロイター/Carlos Barria)
Ginger Gibson
[ワシントン 7日 ロイター] - 2017年1月20日の就任から24時間もたたないうちに、トランプ米大統領は大きな論議を呼んだ。就任式に集まった観客の数が、2009年のオバマ大統領就任式のそれよりも少ないことを示す写真が最初の騒動を巻き起こした。
だが、これが最後ではない。
トランプ大統領の就任1年目は、大統領選でのロシア疑惑、北朝鮮との侮辱や武力行使を巡る脅しの応酬、企業寄りの法案可決に向けた取り組みが特徴と言える。
ホワイトハウスは最初から好戦的な態度だった。大統領就任式に集まった観衆の規模が少なく見えるように撮影したとしてメディアを非難した。
当時のショーン・スパイサー大統領報道官は、写真は現実を反映しておらず、歴史的規模の観衆がトランプ氏の大統領就任を見守ったと主張した。
抗議デモは、トランプ大統領1年目の象徴と言えるだろう。就任式の翌日となる1月21日、何十万人もの女性がワシントンで反トランプデモを行った。
就任から1週間後、共和党のトランプ氏はイスラム圏7カ国から米国への渡航を禁止する大統領令に署名。各地の空港では、「ムスリム禁止令」と批判を浴びたこの政策に対する抗議デモが直ちに行われた。
バージニア州シャーロッツビルで8月発生した白人至上主義団体と反対派の衝突を巡り対応を求められたトランプ大統領は、再び抗議運動に火をつけた。白人至上主義団体のデモに抗議する反対派の集団に自動車が突っ込み、女性1人が死亡した同事件について、トランプ大統領は「双方に」悪い人たちがいたと主張したのだ。
トランプ大統領のこの発言を受け、ビジネス界のリーダーたちが相次いで大統領の助言組織メンバーを辞任し、組織は解散となった。
大統領就任1年目を決定付ける大きな特徴は、2016年米大統領選においてトランプ陣営がロシアと共謀したのではないかとの「ロシアゲート」疑惑を巡る捜査だろう。
トランプ大統領は5月、連邦捜査局(FBI)のジェームズ・コミー長官を解任し、政界に嵐を巻き起こした。コミー長官はロシア疑惑に関する捜査を指揮していた。ロシアは米大統領選への干渉を否定。トランプ大統領も共謀を完全否定している。
その直後、司法省はロバート・モラー元FBI長官をロシア疑惑捜査を率いる特別検察官に任命した。
米大統領選でトランプ陣営の選挙対策本部長を務めたポール・マナフォート氏と同氏のビジネスパートナーであるリック・ゲーツ氏は10月、外国政府の代理として違法にロビー活動を行ったとして大陪審に起訴された、とモラー米連邦特別検察官事務所が発表した。
それから1カ月後、マイケル・フリン前大統領補佐官(国家安全保障担当)は、トランプ氏が大統領に就任するわずか数週間前となる昨年12月にワシントンで行った当時の駐米ロシア大使との会話について、FBIに虚偽の供述をしたことを認めた。
トランプ大統領はまた、北朝鮮のミサイル・核プログラムを巡り、同国と舌戦を展開。金正恩・朝鮮労働党委員長とののしりと脅しの応酬を繰り広げている。
国内においては、大統領選で公約した抜本改革の実現に苦戦を強いられている。
トランプ大統領は北米自由貿易協定(NAFTA)から米国が離脱する可能性を示唆したが、ビジネス界のロビイストたちから説得され、メキシコとカナダと再交渉に臨んでいるものの、協議は難航している。
トランプ政権はまた、共和党がホワイトハウスも議会も支配しているにもかかわらず、大統領選で公約した医療保険制度改革(オバマケア)の撤廃を実現できずにいる。
米議会の上院・下院が抜本的な税制改革法案を可決し、同改革がようやく前進を見せたのは12月に入ってからだ。
(写真:Carlos Barria and Reuters Photographers 文責:Ginger Gibson)

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