欧州市場サマリー(24日)

[24日 ロイター] - <ロンドン株式市場> 続落して取引を終えた。トランプ米大統領が米朝首脳会談を中止する意向を表明したことで世界的に株価が落ちた。また好調な英小売売上高統計を受けポンドが上昇したことも、ドルで収益を上げる国際的な銘柄の重しとなった。
トランプ米大統領は北朝鮮が米国に対して「とてつもない怒りや敵意」があるとし、6月12日の首脳会談を中止した。
個別銘柄の動きでは、決算が嫌気された南アフリカの医療機関運営メディクリニック・インターナショナルが9.4%下落。スイス事業において8億6300万ドルの評価損を計上した。
一方、品質・安全評価サービスのインターテックは3.4%上昇した。売上高が4.4%伸びたことが好感された。
アイルランドのブックメーカー(賭け業者)、パディパワーは2.6%高だった。米事業とファンタジースポーツ企業のファンデュエルの合併・買収(M&A)を固めたことが買い材料だった。投資銀行スタイフェルのアナリストらは「米国におけるスポーツ賭博の規制緩和を踏まえ、パディパワーは有利な立場を固めた」と評価した。
中型株では工業用部品を販売するエレクトロコンポーネンツが16.2%上昇。配当を引き上げたほか、通期決算で利益が二桁台の伸びとなったことが好感された。食品原料のテート&ライルは7.3%上昇。通期利益が増加したことが材料視された。
<欧州株式市場> 続落して取引を終えた。米政権が自動車・同部品の輸入を巡る調査を開始したことで自動車銘柄が売られた。また、大規模な人員削減を発表したドイツ銀行も大幅安となった。
米国は通商拡大法232条に基づき調査し、輸入急増が「国家安全保障上の脅威」と判断すれば追加関税を課すことになる。ドイツの自動車大手BMWとフォルクスワーゲン(VW)、ダイムラーは1.7%から2.8%下落した。ドイツのクセトラDAX指数は0.94%低下。STOXX欧州600種自動車・部品株指数は1.84%低下した。
ドイツ銀行は4.8%下落し、2016年9月以来の安値をつけた。投資銀行部門の事業再編に向けて数千人規模の人員を削減する計画を発表した。
イタリアの主要株価FTSE・MIB指数は0.71%低下し、7週間ぶりの安値となった。極右政党「同盟」と大衆迎合主義(ポピュリズム)政党「五つ星運動」の連立政権が経済相にEU・ユーロ懐疑派の元産業相を推していることが不安視された。
<ユーロ圏債券> 独10年債利回りが低下し、1月以来の低水準を付けた。トランプ米大統領が米朝首脳会談の中止を決めたことを受けた。
みずほのストラテジスト、ピーター・チャトウェル氏は「前日発表された軟調なユーロ圏総合購買担当者景気指数(PMI)やイタリアの政治リスクから独債の需要はすでに高まっており、米朝会談中止のニュースはそうした状況にお飾りを添えたようなものだ」と述べた。 独10年債利回りは4ベーシスポイント(bp)低下して0.46%と、1月11日以来の低水準を付けた。その後は0.47%で清算。
他の主要国債利回りもおおむね2─5bp低下した。
会談中止のニュースが伝わると、米10年債利回りも低下し、心理的に重要な水準とされる3%を下抜けた。
イタリア10年債利回りは2.40%と、前日から小幅な低下にとどまり、今週付けた1年2カ月ぶり高水準の2.45%近辺で推移。
同利回りは一時大幅に低下していたものの、新政権がユーロ懐疑派のエコノミスト、パオロ・サボナ氏を経済財務相に推していることを受け懸念が広がる中、押し戻される格好となった。

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