欧州市場サマリー(24日)

[24日 ロイター] - <ロンドン株式市場> 小幅に続落して取引を終えた。英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)協議が12月に前進するとの期待からポンドが上昇しており、海外で収益を上げる銘柄が多いFT100種にとって重しとなった。
ポンドは3週連続で上昇する見通しだ。
メイ英首相はこの日、トゥスクEU大統領とブリュッセルで会談し、EUと協力して通商協議入りしたい意向を改めて表明した。
10月の国内銀行の住宅ローン承認件数が13カ月ぶりの低水準となったことで住宅建設銘柄の値下がりが目立った。
プロビデント・フィナンシャルは2.3%下落。ウォルステンホルム会長が53歳で死去したことが売り材料となった。同社は8月に、事業再編のほかフランチャイズ店の保護に向けてウォルステンホルム氏を同職に任命していた。
一方、ブックメーカー(賭け業者)のパディパワー・ベットフェアは3.2%上昇した。英国内の厳しい賭博規制を埋め合わせるために海外事業を拡大するとの報道が材料視された。
<欧州株式市場> 小幅下落して取引を終えた。ただSTOXX欧州600種指数は週間ベースで3週間ぶりにプラスへ転じ、約0.7%高となった。
大連立政権が樹立するとの期待からドイツのクセトラDAX指数は0.39%上昇。
証券会社シティ・インデックスの市場アナリスト、ケン・オデルガ氏は「再選挙なしに解決する勢いは大いにある」と述べる。第2党のドイツ社会民主党(SPD)幹部はこの日、政治停滞を回避するため、他の政党と協議をする用意があると明らかにした。
中国が一部の消費財の輸入関税を引き下げるとしたことで、消費関連株が買われた。フランスの食品大手ダノンは0.8%、世界最大の蒸留酒メーカー、ディアジオは0.3%上昇した。
STOXX欧州600種銀行株指数は0.53%上昇。イタリアの銀行株の値上がりが目立った。UBIとバンコBPM、BPER(バンカ・ポポラーレ・デレミリア・ロマーニャ)は2.5%から5.9%上昇した。不良債権処理についてより緩い規制を導入することで銀行当局が協議しているとの報道が材料視された。
<ユーロ圏債券> 国債利回りが上昇。欧州中央銀行(ECB)が前日公表した10月理事会の議事要旨が引き続き材料視された。
ECB議事要旨からは、資産買い入れ策の延長について幅広い合意を得た半面、オープンエンド(無期限)型の資産買い入れプログラムを維持するかどうかを巡り意見が大きく分かれたことが明らかになった。
また一部メンバーは、インフレが引き続き成長率を下回る緩慢な伸びにとどまったとしても、資産買い入れを終了することができるように量的緩和策をインフレ動向と関連付けるのをやめるべきと主張した。
DZ銀のアナリスト、セバスティアン・フレシュナー氏は、従来型の政策措置とインフレ動向を関連付けることによって、ECBは「遅いより早い時期に緩和策からの脱却が可能となる」との見方を示した。
指標独10年債利回りは2ベーシスポイント(bp)上昇。ECBの資産買い入れによる恩恵を最も受けている南欧債利回りはアンダーパフォームし、2-4bp上昇。
イタリア10年債と独10年債の利回り格差は前日比5bp拡大し、145bpとなった。
総選挙後、連立交渉が決裂したドイツの政情も注目される。第2党のドイツ社会民主党(SPD)はこの日、政治停滞を回避するため、メルケル首相と連立協議をすることで合意し、主要国債利回りに上昇圧力がかかる格好となった。
また、独IFO経済研究所が発表した11月の業況指数は予想に反し上昇し、過去最高を記録。同国経済が第4・四半期も好調に推移していることを示唆した。
こうした中、政権崩壊の危機に見舞われているアイルランド10年債利回りが3.5bp上昇し、0.61%となった。少数与党の統一アイルランド党に閣外協力する第2党の共和党は、フィッツジェラルド副首相に対する不信任案を議会に提出した。

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