NAFTA再交渉開始、米国「微修正では済まない」とけん制

NAFTA再交渉開始、米国「微修正では済まない」とけん制
 8月16日、米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表(写真)は、カナダ、メキシコとの北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉開始に当たり、トランプ政権が「単なる微修正」で納得することはないと強調、両国に大幅な譲歩を求める姿勢を鮮明にした。写真はワシントンで撮影(2017年 ロイター/Aaron Bernstein)
[ワシントン 16日 ロイター] - 米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表は16日、カナダ、メキシコとの北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉開始に当たり、トランプ政権が「単なる微修正」で納得することはないと強調、両国に大幅な譲歩を求める姿勢を鮮明にした。
同代表は「多くの米国人にとってNAFTAは期待外れだった。大幅な改善が必要だとわれわれは感じている」と表明。1994年の発効以降、米製造業で70万人の雇用喪失の引き金となったと主張した。
そのうえで、域内で生産された部品をどの程度使えば完成品の関税をゼロにするかを定める「原産地規則」の基準の厳格化や米国産自動車部品の調達率引き上げを要求すると述べた。
また、紛争解決手続きについても「われわれの国家主権を尊重する必要がある」と述べ、カナダ、メキシコ両国に対する反ダンピング(不当廉売)課税の拡大を可能にする方向での変更を求める考えを示唆した。
カナダのフリーランド外相は今週、「第19条」が規定する二国間パネルによる紛争解決メカニズムについて、米国が同規定の撤廃を推し進めた場合、交渉離脱も辞さない意向を示唆している。
フリーランド氏はこの日、米国が貿易赤字削減にこだわっていることに関して「貿易黒字あるいは赤字が、通商関係が機能しているかどうかの主要な判断材料だとカナダは考えていない」と述べた。
メキシコのグアハルド経済相は、NAFTAは3カ国間の貿易を拡大する形で現代化する必要があると指摘。「全ての参加国が意義を認められなければ協定とは言えない」とした。
その後の記者会見では、3カ国の溝を埋める取り組みに着手するのは「時期尚早」との見方を示した。
再交渉の初会合は20日まで米首都ワシントンで開かれ、3カ国の提案と要求を整理することに主眼が置かれる見込み。

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