中国、香港デモの武力鎮圧も辞さず トランプ氏は対話解決訴え

中国、香港デモの武力鎮圧も辞さず トランプ氏は対話解決訴え
 8月15日、「逃亡犯条例」改正案を巡る香港の抗議活動について、中国政府は軍部隊の投入による鎮圧も辞さない姿勢を示しており、情勢は一段と緊迫している。写真は深センにある香港との境界に近い競技場で演習に集まった中国人民武装警察の車両(2019年 ロイター/Thomas Peter)
[深セン(中国)/香港 15日 ロイター] - 香港で「逃亡犯条例」改正案を巡る抗議活動が続き、事態の収束が見通せない中で、中国政府は軍部隊の投入による鎮圧も辞さない姿勢を示しており、情勢は一段と緊迫している。トランプ米大統領は、習近平国家主席が香港の抗議活動家らと面会すれば双方の対立は解消すると述べ、習氏に対話による解決を促した。
香港国際空港では今週に入り何千人ものデモ参加者が連日座り込みを行い、1000便近くが欠航する事態となった。こうした中、6月の大規模デモを組織した民間人権陣線(CHRF)は今週末に新たな抗議活動を計画している。
中国深センの香港との境界に近い競技場では15日、中国人民武装警察(武警)が演習を実施しているのが確認された。香港で続いている抗議活動に対するけん制とみられる。
深センの競技場からは、迷彩服姿の男性らが声を挙げたり、警笛の音が聞こえた。競技場の駐車場は100台以上の武警関係車両で埋め尽くされ、ホールローダーが少なくとも3台、放水砲を搭載した車が2台あった。
中国共産党機関紙の人民日報は、ソーシャルメディアの微博(ウェイボー)に、武警は騒乱やテロリスト攻撃に対応すると投稿。中国の劉暁明駐英大使は、香港の抗議活動の一部参加者にテロの兆候がうかがえるとし「香港情勢がさらに悪化すれば、中央政府は座して傍観していない」と警告した。
また中国共産党系メディアの環球時報は16日付の社説で「中国政府は香港の暴動沈静化へ強力に介入するかを決めていないが、こうした選択肢が政府にあることは明らか」とした上で「深センに集結した人民武装警察部隊は、香港の暴動参加者らに明確な警告メッセージを送った」と指摘した。
同時に、中国の民主化運動が武力弾圧された1989年の天安門事件にも言及し、香港で天安門事件が繰り返されることはないと強調。「米国は30年前の混乱を材料に中国を威嚇することはできなくなるだろう。中国ははるかに強力で成熟しており、複雑な状況をコントロールする能力は大きく向上した」と主張した。
トランプ氏はツイッターで「習主席が抗議活動家らと直接面会すれば、香港の問題は円満かつ賢明に収束するだろう。私はそう確信している!」とし、対話による解決を求めた。
米国務省は、香港の自治に対する侵害が続けば、米国法の下で享受している経済上の優先的地位が危険にさらされると指摘。またボルトン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は、香港が英国の元植民地であり信頼できる司法制度があるからこそ、中国本土に対する投資の約6割が香港を通じて行われているとし「中国政府の誤った判断により香港の評価が失われれば、中国に多大な経済的影響が生じる」と警告した。
*内容を追加しました。

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