米アップル、1─3月収益予想上回る 中国市場の先行き楽観

米アップル、1─3月収益予想上回る 中国市場の先行き楽観
 4月30日、米アップルが発表した第2・四半期(1─3月)決算は、1株利益と売上高が市場予想を上回った。ニューヨークで昨年4月撮影(2019年 ロイター/Lucas Jackson)
[30日 ロイター] - 米アップルが30日発表した第2・四半期(1─3月)決算は、1株利益と売上高が市場予想を上回った。スマートフォン「iPhone」の売り上げは大きく落ち込んだものの、アップル・ミュージックなどサービス事業や腕時計型端末「アップルウオッチ」の需要増加が寄与した。
第3・四半期(4─6月)の売上高見通しもアナリスト予想を上回った。ティム・クック最高経営責任者(CEO)は、値引きを背景に中国でiPhoneの売り上げが安定し始めたという見方を示した。「それに加え、ウエアラブル端末などの成功が続いており、われわれは状況がやや改善しつつあるとの確信をある程度持っている」と語った。
決算を受け、株価は時間外取引で5%強上昇して211.50ドル。
第2・四半期は1株純利益が2.46ドルと、前年同期比約9.9%減少したものの、市場予想平均の2.36ドルを上回った。
純利益は16.3%減の115億6000万ドル。第2・四半期に大規模な自社株買いを実施したことから発行済み株式数が減り、1株当たりの純利益が押し上げられた。
売上高は580億2000万ドルで、こちらもリフィニティブがまとめたアナリスト予想平均(573億7000万ドル)を上回った。
売上高全体の半分以上を占めるiPhoneの売上高は310億5000万ドルで、ファクトセットがまとめたアナリスト予想(311億ドル)をやや下回った。前年同期比の減少率は17%で過去最大を記録した。
アップル・ミュージックなどサービス事業の売上高が114億5000万ドル、アナリスト予想は113億2000万ドルだった。
ウエアラブル事業の売り上げは51億3000万ドルで、こちらも予想(47億9000万ドル)を上回った。
第3・四半期の売上高見通しレンジは525億─545億ドルとし、リフィニティブがまとめたアナリスト予想平均(519億3000万ドル)を上回った。
クック氏はロイターとのインタビューで、第2・四半期最後の数週間で、iPhoneの売り上げが底堅さを見せ始めたと説明。中国での価格調整や税引き下げなどが奏功したという。また、米中通商合意を「楽観視」しているとした。
取締役会が追加の自社株買い(750億ドル規模)を承認し、5%の増配実施も明らかにした。第2・四半期の自社株買いと配当は270億ドル規模と記録的水準だった。
iPhoneの販売が伸び悩む中、投資家はアップルのサービス事業に成長エンジンとしての役割を期待している。アップルは先月、動画ストリーミングサービスへの参入やクレジットカード、オンラインゲームサービス、ニュースサービスなどを発表し、エンタテインメントおよび金融サービス企業としての再出発を打ち出した。
同社は30日、アップルの端末上での自社および第三者のサービスの契約者数が3億9000万人に達したことを明らかにした。同社は2020年までに5億人の達成を目標に掲げている。
決算公表を受け、一部株主は四半期末に向けた業績改善の兆しなどを評価。また、期待水準が低かった点を割り引いて受け止める向きもいた。
ウィスコンシン・キャピタル・マネジメントの創設者でアップル株主のトム・プラム氏は、決算内容は良好なようだと指摘。とりわけ四半期末にかけて業績が上向いたことを評価した。
一方、同じく株主でニュー・イングランド・インベストメント・アンド・リタイアメント・グループのプリンシパル、ブライアン・ピリ氏は「スマホが答えだとは思わない。(アップルは)革新し続ける必要がある」と指摘した。
*内容を追加しました。

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