上海外為市場=人民元は下落、香港巡る米国の対中措置発表控え

[上海 29日 ロイター] - 上海外国為替市場の人民元相場は対ドルで下落。過去4カ月間で3カ月目の下落となる見通しだ。中国による「香港国家安全法」の制定方針を受けた米政府の対応に関するトランプ大統領の発表を控え、軟調に推移している。
市場筋は、トランプ氏が今週述べた通り、強力な措置を打ち出した場合、米中間の緊張がさらに高まり、人民元が圧迫される可能性があると指摘している。
中国人民銀行(中央銀行)はこの日の人民元の対ドル基準値(中間値)を1ドル=7.1316元と前日基準値(7.1277元)と比べて元安水準に設定した。ただ、市場筋によると、基準値は3日連続で市場予想よりも元高方向となった。
TSロンバードのチーフエコノミスト、ラリー・ブレイナード氏は、リサーチノートで「最近の基準値は、人民元が下落しないようボラティリティーを抑制する人民銀行の取り組みを示唆している」と指摘した。
国内スポット市場の人民元は1ドル=7.1575元で始まった後、中盤時点では7.1503元と前日終値比56ポイントの元安。この水準で引けた場合、今月は1.2%安、年初来では2.6%安となる。
SEBのアジア戦略責任者、ユージニア・ビクトリノ氏は、人民銀は主要貿易パートナーの通貨に対する人民元の価値を管理しつつ、ある程度の元安を容認するだろうと指摘。「中国の経済見通しに対する課題や米国との地政学的緊張の高まりを踏まえると、人民元は短期的にバッファーの役割を担う必要がある」と語った。
オフショア人民元は中盤時点で1ドル=7.169元。

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