ソニーがゲーム好調で過去最高益へ、不振のスマホは規模縮小

ソニーが通期業績予想を上方修正、ゲーム好調で最高益へ
 10月30日、ソニーは、2019年3月期業績予想(米国会計基準)を上方修正した。写真はソニーのロゴ。昨年11月に東京で撮影(2018年 ロイター/Kim Kyung Hoon)
[東京 30日 ロイター] - ソニー<6758.T>は30日、2019年3月期業績予想(米国会計基準)を上方修正した。営業利益予想は前年比18.4%増の8700億円と従来の減益予想(6700億円)から一転、2期連続で過去最高を更新する見通し。ゲーム事業が好調なことに加え、EMI連結子会社化などが利益を押し上げる。
会社予想は、リフィニティブがまとめたアナリスト25人の予測平均7964億円を大きく上回る。
ゲーム&ネットワークサービス事業の通期営業利益予想は、前年比74.6%増の3100億円に上方修正。上方修正は1900億円から2500億円に引き上げた7月に続き、今期2度目。
発売開始から約5年が経過した家庭用ゲーム機「プレイステーション4」(PS4)の販売計画は、1750万台と前期から150万台減少するとみているが、従来計画から50万台上乗せした。ネットワークサービスが伸びているほか、ソフトウエアの販売も好調に推移している。
音楽事業の営業利益予想も上方修正。EMI持分の再評価益や連結子会社化の影響などを織り込み、営業利益予想を1150億円から2300億円(前期1278億円)に引き上げた。スマートフォン向けゲーム「Fate/Grand Order」も好調だ。
半導体分野の営業利益予想も1200億円から1400億円に上方修正。前期実績は1640億円で減益予想に変わりはないが、減少幅は縮小する見通し。
会見した十時裕樹・最高財務責任者(CFO)は「スマートフォンにおけるカメラの多眼化やイメージセンサーの大型化の流れの中、イメージセンサーに対する需要は今後数年にわたり拡大する」と指摘。これに対応するために、イメージセンサーの投資額を従来計画より2割程度増加させる意向を示した。
同社は2020年度までの設備投資計画1兆円のうち、約半分をイメージセンサーに充てる計画を立てていた。イメージセンサーの投資額は6000億円程度に膨らむ見通し。
<モバイル事業は苦戦、2020年度黒字化目指す>
一方、不振が続くスマートフォンは、販売計画を900万台から700万台に下方修正した。前期は1350万台だった。これに伴い、モバイル・コミュニケーション分野の営業損益予想を300億円の赤字から950億円の赤字に引き下げた。赤字額は前期の276億円から拡大する見込み。
十時CFOはモバイル事業について「事業リスクを引き下げるために、規模を一層縮小する必要がある」との認識を示した。
2020年度のオペレーションコストを2017年度比で約50%削減する。5月時点では30%の削減計画を公表していたが、リスクを回避するためにさらなる削減に踏み込む。
これにより、2020年度の営業黒字化を目指す。
十時CFOは「構造改革や規模縮小、固定費の引き下げ、商品力の強化で立て直していきたい」と説明。「オペレーションコストを半減した時の利益が出る水準は700万台規模だ」と述べ、今期計画の販売台数を2020年度まで維持するとともに、コストを半減できれば黒字化は可能との見方を示した。
全体の売上高は前年比1.8%増の8兆7000億円(従来予想8兆6000億円)を見込んでいる。前提レートは1ドル110円前後から112円前後に、1ユーロ127円前後から132円前後に、それぞれ見直した。
2018年4─9月期は、売上高が前年比5.5%増の4兆1363億円、営業利益は同20.1%増の4345億円だった。
*誤字を修正しました。

志田義寧 編集:田巻一彦

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