トルコの原発新設計画、私どもが判断できる範囲でない=三菱重社長

トルコの原発新設計画、私どもが判断できる範囲でない=三菱重社長
 12月12日、三菱重工業の宮永俊一社長は、官民連合によるトルコでの原子力発電所の建設計画について、今も同社がまとめた事業化調査に基づく提案書を「トルコ側が評価中」と説明した上で、もはや現段階は「私どもが判断できる範囲ではないと思う」と述べた。写真は都内で2016年5月撮影(2018年 ロイター/Issei Kato)
[東京 12日 ロイター] - 三菱重工業<7011.T>の宮永俊一社長は12日、官民連合によるトルコでの原子力発電所の建設計画について、今も同社がまとめた事業化調査に基づく提案書を「トルコ側が評価中」と説明した上で、もはや現段階は「私どもが判断できる範囲ではないと思う」と述べた。
宮永社長は同日、ロイターなどとのインタビューで、現在の状況について、トルコ側から「ものすごく細かい質問をいっぱい受けている最中」といい、「まず政府間(での協議)があって、政府間で何かあれば、われわれに問い合わせがあり、お答えするということになる」と語った。
トルコへの原発輸出計画を巡っては、安倍晋三首相と当時首相だったエルドアン現大統領が2013年に合意。当初は三菱重を中心とした企業連合が原発4基を建設する予定で、17年に着工、23年には1号機の稼働を計画しており、日本政府のインフラ輸出戦略の目玉の1つとして位置づけられていた。
しかし、11年の東日本大震災での東京電力福島第一原発事故を受け、安全対策費が大幅に増加。さらに、米国との対立でトルコ通貨リラの暴落も重なり、総事業費は当初想定から倍増の5兆円規模に膨らんでいるとされる。国内経済の混乱が続き、費用捻出が厳しいトルコとの交渉は難航しているもようで、日本政府は原発の海外輸出戦略の見直しを迫られそうだ。

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