米FRBの資産縮小、金利上昇に重要な役割=カンザスシティー連銀報告

[6日 ロイター] - 米カンザスシティー地区連銀は6日に公表した報告書で、米経済の一部が減速の兆しを見せていることを踏まえると、連邦準備理事会(FRB)のバランスシート縮小が借り入れ金利に上昇圧力をかけるのに重要な役割を果たしているとの見解を示した。
FRBは2017年第4・四半期にバランスシートの正常化に着手。大量に買い入れた債券の保有を減らす、いわゆる量的引き締めを開始した。
こうしたなかエコノミストや投資家の間で、FRBが国債とモーゲージ担保証券(MBS)の保有を減らすことで、銀行準備が過度に速いペースで目減りしており、FRBの利上げの影響が増幅されているとの懸念が出ているほか、一部アナリストは、フェデラルファンド(FF)金利上昇の原因はFRBのバランスシート縮小にあるとの見方を示している。
銀行準備は14年にピークの2兆8000億ドルに達した後は、1兆6000億ドル近辺に減少。FRBのバランスシート正常化開始後は、FRBの債券保有高は4000億ドル減少、銀行準備は7400億ドル減少した。
報告の執筆者であるカンザスシティー地区連銀のシニアエコノミスト、A・リー・スミス氏は、準備の水準が「準備バランスに対しFRBが支払う利子率(IOR)とFF金利との中長期的なスプレッドの決定に重要な役割を果たすことが示された一方、レポ金利のダイナミクスは比較的重要な役割を果たしていないことが示された」としている。
カンザスシティー地区連銀の報告から、FRBがバランスシートの縮小を一段と進めれば、FF金利がIORを上回る可能性があることが示された。アナリストはこうしたことが実際に起きれば、FRBの金利を制御する能力に対する投資家の信頼感が揺らぐ恐れがあるとしている。
IORとFF金利平均は現在、2.40%。FRBはIORを短期金利の上昇を抑制するための主要な政策手段として利用しており、18年は2回、IORの調整を実施した。

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