欧州市場サマリー(26日)

[26日 ロイター] - <ロンドン株式市場> 小幅に続落して取引を終えた。米当局の調査を受けているとの報道が嫌気されたスイスの商品取引・資源大手グレンコアが売られたほか、軟調な決算を発表した銘柄も値を下げた。
グレンコアは3.3%下落。同社によると、米商品先物取引委員会(CFTC)がグレンコアについて、「腐敗行為」を通じてルールに反したかどうかを調査している。[nL3N2282BU]
英銀大手のロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)は4.0%安だった。第1・四半期利益が前年から縮小したことが嫌気された。競争激化と英国の欧州連合(EU)離脱を巡る先行き不透明感が打撃となった。
外食デリバリーサービスのジャスト・イートは4.6%下落した。第1・四半期決算は英国事業の伸びが鈍化。2月の温暖な気候と、復活祭(イースター)が例年より遅かったことが理由という。
中型株では鉄鉱石用ペレットメーカー、フェレクスポが28.4%急落した。3年半ぶりの大幅な下落だ。監査を担っていたデロイトが突如、監査を辞めた。フェレクスポは23日、寄付金の一部が不正流用されていたかもしれないと述べて以来、株価が下がっている。
一方、ITサービスのコンピュータセンターは18.3%急騰した。第1・四半期決算が「満足のいく」内容だったとした上で、通期の業績目標を維持したことが好感された。
<欧州株式市場> 反発して取引を終えた。好調な決算と、市場予想を上回る米国内総生産(GDP)が材料視された。
米GDP統計を受け、世界経済への懸念が後退した。今週は韓国やドイツが軟調な経済指標を発表し、世界の成長鈍化への警戒心が強まっていた。
STOXX欧州600種銀行株指数は0.33%上昇した。個別銘柄ではHSBCとスタンダード・チャータード(スタンチャート)、コメルツ銀行が値を上げた。
ヘルスケア指数は0.84%上昇。決算が好感されたフランスの製薬大手サノフィは3.5%高だった。第1・四半期の利益と売り上げが増え、業績が伸びた。サノフィはSTOXX欧州600種指数の最大の押し上げ要因だった。
フランスの航空機エンジンメーカーのサフランは3.4%高。第1・四半期決算は、売り上げが目標を上回った。
自動車・部品株指数は0.93%上昇。フランスの自動車メーカー、ルノーと米自動車大手フォード・モーター、フランスの自動車部品のバレオが前向きな見通しを示したことが好感された。ルノーが日産自動車に対等な関係を目指す経営統合を提案するとの報道もルノー株を押し上げた。
<ユーロ圏債券> イタリア国債利回りが急低下。S&Pグローバルがイタリア国債の格下げを見送るとの見方が広がった。
S&Pグローバルは26日の取引終了後に、イタリアの格付けを見直す予定。現在の格付けは「BBB(トリプルB)」で見通しは「ネガティブ」。
格下げの可能性や連立政権内の対立を巡る懸念を受け、イタリア10年債利回りは今週、7週間ぶりの高水準となったが、この日は低下。アナリストによると、イタリアの格下げはないとの見方が背景という。
みずほのストラテジスト、アントワーヌ・ブーベ氏は「格付け会社が先手を打つことに大きな意味はなく、私はイタリアの格下げを予想しない。この見方を元に一部の投資家が(イタリア国債を)購入した可能性がある」と述べた。
ナティクシスのストラテジスト、シリル・レニャ氏も、S&Pがイタリアを格下げする可能性は低いと指摘。ただ今後6カ月間の格付け見通しが示される可能性があるとした。
一方、DZ銀行の金利ストラテジスト、クリスチャン・レンク氏は「(格付けに関する)内部情報を知る者はおらず、単なる思惑に過ぎない」とした上で、この日は薄商いだったと指摘した。レンク氏はイタリアが格下げされる可能性があるとみている。
終盤の取引で、イタリア10年債利回りは9ベーシスポイント(bp)低下の2.59%。7週間で最大の下げとなる見込み。
イタリアとドイツの10年債利回り差は2カ月ぶりの高水準(約271bp)から低下した。
今週末に総選挙を控えるスペインでも10年債利回りが6bp低下し、1.03%となった。
S&Pはこの日、ギリシャの格付け見直しも予定している。現在の格付けは「Bプラス」で、見通しは「ポジティブ」。
一方、米国の国内総生産(GDP)にはほとんど反応せず、独10年債利回りは、域内経済への根強い懸念を背景に引き続きゼロ%を下回って推移した。

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