グーグル社員200人超、中国向け検索エンジン開発中止要求

グーグル社員200人超、中国向け検索エンジン開発中止要求
 11月27日、米アルファベット傘下のグーグルが水面下で開発中とされる中国向け検索エンジンを巡り、200人を超える社員が、開発中止を求める公開書簡を発表した。写真はグーグルのロゴ。カリフォルニア州の本社で1日撮影(2018年 ロイター/ Stephen Lam)
[サンフランシスコ 27日 ロイター] - 米アルファベット傘下のグーグルが水面下で開発中とされる中国向け検索エンジンを巡り、200人を超える社員が27日、開発中止を求める公開書簡を発表した。
中国政府が検閲して問題ないと判断した情報のみを表示する検察エンジン開発は「ドラゴンフライ計画」と呼ばれ、今年8月以降その内容が外部に流出し始めている。
こうした中でグーグルの現社員と元社員、人権団体、米議員などが、政治的に不都合とみなす情報を排除しようとする中国政府の方針にグーグルが断固反対しないことを批判する動きが広がった。
国際的な人権擁護団体アムネスティ・インターナショナルも27日、グーグルにドラゴンフライ計画の中止を訴える署名活動を開始。ビジネス特化型ソーシャルメディアのリンクトインを通じてグーグルの社員を見つけて署名を呼び掛ける考えを示した。
グーグルは公開書簡についてコメントを差し控えた。アルファベットはこの日の取引を0.35%安で終了した。
グーグルは、検閲への懸念から2010年に中国の検索エンジン市場から撤退したが、中国再参入を模索してきた。
中国工業情報省の当局者はロイターに対し、グーグルが中国向け検索エンジンを将来的に提供する計画を修正したと示すものは「全くない」とコメント。ただ、2019年に提供を開始する可能性については「非現実的」だとし、それ以上は言及しなかった。
8月にはやはりグーグルの約1400人の社員が、ドラゴンフライ計画を含む倫理的に疑念がある事業への監督態勢を改善するよう会社側に申し入れている。
今回の公開書簡に最初に署名した9人の社員は、8月の申し入れ以降、進展はほとんど見受けられないと語った。
ブログサービス「ミディアム」で発表された書簡には、中国政府が検索データを通じて反体制活動家を追跡し、コンテンツ制限によって事実を隠そうとしていることへの懸念が記されている。
「権力側が弱者を抑圧するのを手助けする技術には反対する」としている。
社員らは、グーグルがもはや「利益よりも自社の価値基準を優先する企業」ではなくなったと批判。セクハラ問題で退社した幹部に多額の退職金を支払っていたことを認めるなど、一連の「失望を呼ぶ事例」が今年あったことを理由に挙げた。
*内容を追加します。

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