米老舗小売シアーズが破産法第11条申請、ネット通販の波にのまれる

米老舗小売シアーズが破産法第11条申請、ネット通販の波にのまれる
 10月15日、米小売り大手シアーズ・ホールディングスが、米連邦破産法11条の適用を申請した。写真はシアーズの看板。10日にニューヨーク州で撮影(2018年 ロイター/Shannon Stapleton)
[15日 ロイター] - 米小売り大手シアーズ・ホールディングスが15日、米連邦破産法11条の適用を申請した。今後、裁判所の管理のもと、店舗を売却するなどして再生を目指す。「シアーズ」や「Kマート」などを傘下に置く同社は創業1世紀の老舗。かつては小売り最大手として名を馳せていたが、ネット通販時代の波に押された。
シアーズの立て直しに向け2004年に同社を買収したエディ・ランパート最高経営責任者(CEO)は、かつての繁栄時代を取り戻すと約束。ランパート氏がシアーズ株を購入したり、融資をしたが、2011年以降は利益をあげられなくなっていた。
2005年にディカウントチェーンのKマートと合併し、株価は100ドルを超えた時期もあったが、12日は0.41ドル前後で終了した。
<店舗閉鎖、資産売却>
裁判所文書によると、資産は69億ドル、負債は113億ドル。
裁判所に提出した計画によると、ランパート氏に代わり3人で構成する委員会が業務執行の指揮をとる。ランパート氏は、経営の一線から退くものの、取締役会の会長にはとどまる。また、企業助言会社M─IIIパートナーズのマネジングディレクター、モーシン・メグジ氏が、会社再建の責任者に任命された。
シアーズによると、年末までに142の不採算店舗の閉鎖を開始し、資産の売却を進め、営業基盤を700程度の優良店舗に絞る方針。
また、傘下店舗の「大部分」の売却を検討しており、入札でランパート氏のヘッジファンドに売却する可能性があるとしている。
その間、「シアーズ」、「Kマート」の店舗は通常通り営業し、従業員に給与を支払う。継続して販売できるよう、仕入先と対応を協議しているという。
シアーズは声明で「再編が成功し会社と雇用が守られると信じている」と表明した。
米国内の従業員は2月時点で約8万9000人。5年前は24万6000人だった。
すでに破産手続き中の運転資金として3億ドルの融資を受け、さらに3億ドルの融資について交渉中としている。
前週末、関係筋は、ランパート氏が破産手続きを進める間に事業を継続できるよう、5億─6億ドルの融資提供に向けて協議を進めていると語っていた。[nL3N1WV1MY]
<ランパート氏の投資>
投資家の間でくすぶる問題の一つが、高価値な不動産を含む資産の評価だ。
ランパート氏は、同氏のヘッジファンド、ESLインベストメンツと併せてシアーズの50%弱を保有し、最大の債権者(約25億ドル)でもある。
シアーズは、ランパート氏が設立した会社セリテージ・グロース・プロパティーズに優良店舗235店舗を27億ドルで売却。また、ランパート氏は、2014年にスピンオフしたランズエンドの筆頭株主になっている。こうした取引が破産裁判所で債権者側から追及される可能性がある。
法律事務所コジャク・トロピン・アンド・スロックモートンのマネジングパートナー、コラリ・ロペス・カストロ氏は「破産すると、金魚鉢にいるような感じで、あらゆる取引が調べられる」と指摘した。
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