大手損保、通期予想で「明暗」 異常危険準備金や傘下企業の業績で

火災保険料、参考純率決定後の自然災害など勘案し改定=東京海上幹部
 11月19日、東京海上ホールディングスが発表した2018年4―9月期連結決算は、当期純利益が前年同期比29.8%減の538億8500万円となった。写真は都内で2016年5月撮影(2018年 ロイター/Toru Hanai)
[東京 19日 ロイター] - 損害保険大手3社が19日発表した2019年3月期の連結通期利益見通しは、国内の大規模自然災害に備えて積み上げてきた「異常危険準備金」の残高やグループ傘下企業の収益の違いにより、明暗が分かれた。SOMPOホールディングス<8630.T>が利益見通しを下方修正した一方で、東京海上ホールディングス<8766.T>、MS&ADインシュアランスグループホールディングス<8725.T>は通期見通しを維持した。
<SOMPOは下方修正>
SOMPOは、通期の利益予想を前期比50.2%増の2100億円から同21.6%増の1700億円に下方修正した。過去最高益は更新するが、増益幅は縮小する。
西日本豪雨、台風21号、24号で、正味ベースの保険金支払いは当初予想の480億円から1750億円に大幅増の見通し。SOMPOは再保険のカバー部分を増やす。海外の連結子会社も予想より振るわず、トルコやブラジルの通貨安も利益を下押す。
会見した辻伸治副社長は、相次いだ大規模な自然災害について「深刻な資本イベントにはなっていない。予想通り増配も実施する」と述べた。
損保ジャパン日本興亜の火災保険の支払い増に備えた異常危険準備金は9月末時点で1447億円。期末にかけて1402億円取り崩す計画で、繰り入れ分を考慮しても今期の期末残高は526億円に減少する見通し。
<東京海上、異常危険準備金は総額1兆円超>
MS&ADは通期の利益予想を2000億円で据え置いた。異常危険準備金を取り崩すことで、大型自然災害の通期利益への影響は出ない見通し。
会見した大川畑文昭・専務執行役員は、通常ペースの繰り入れに加えて、傘下の三井住友海上とあいおいニッセイ同和損保で合計450億円、異常危険準備金を積み増すことで水準を維持する方針を示した。三井住友海上とあいおいニッセイ同和損保の火災保険に備えた異常危険準備金は、9月末時点で合計2581億円。
東京海上ホールディングスも通期予想を3200億円で据え置き。東京海上の藤田裕一専務取締役は、異常危険準備金が1兆円超と潤沢なため、追加の繰り入れは考えていないとした。東京海上の単体ベースの火災保険向け異常危険準備金は9月時点で3467億円。
藤田専務取締役は会見で、火災保険料について、今年6月の参考純率決定後の自然災害などを総合的に勘案して改定すると述べた。
*内容を更新しカテゴリーを変更して再送します。

和田崇彦

私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」, opens new tab