コラム:中国経済は「懸念水域」に、減速ペースが予想上回る

コラム:中国経済は「懸念水域」に、減速ペースが予想上回る
10月18日、中国経済の減速は懸念すべき段階に達した。第3・四半期の経済成長率は6%に低下し、中国の当局者は見通しを引き下げている。写真は上海で2015年1月撮影(2019年 ロイター/Aly Song)
Christopher Beddor
[香港 18日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 中国経済の減速は懸念すべき段階に達した。第3・四半期の経済成長率は6%に低下し、中国の当局者は見通しを引き下げている。一部の歴史に照らせば、中国の発展段階にとってあまりに低い伸びであることが示唆されている。
李克強首相は先月、中国のGDP(国内総生産)伸び率が少なくとも6%を維持するのは「非常に困難」になるだろうと発言。さえない結果を見込んだシグナルとして容易に解釈できる。一部のエコノミストは年内に6%を割り込むと予想し始めている。
一定程度のいわゆる構造的な減速は自然な現象だ。全ての途上国は米国の所得水準に近付くにつれてコピーできる裕福な国のアイデアを使い果たす。オックスフォード・エコノミクスによると、中国の成長率は2030年までに4%に低下し、その後は40年までに2.8%に低下する見通しだ。
しかし、中国は予想されているよりも速いペースで減速している。国際通貨基金(IMF)のデータに基づくと、購買力で調整した中国人1人当たりのGDPは米国人の約30%に過ぎず、依然として比較的貧しいままだ。ピーターソン国際経済研究所のニコラス・ラーディ氏によると、日本は米国の所得水準の約25%に達してから、さらに20年にわたって年平均9%超の伸び率を維持した。韓国は同じ期間に平均7.7%の伸びを達成。台湾とシンガポールはそれぞれ伸び率が8.4%と8.7%だった。
最近ですらエコノミストはより大きな伸びを予想していた。IMFは約10年前に始めた5年見通しで、中国の成長率は15─18年に平均で9%になるとみていた。実際は7%未満だった。
中国の経済規模は14兆ドルで、言うまでもなく既にアジアの他国を上回った。米国との貿易戦争や世界的な景気停滞も要因となっている。ただ、刺激策を巡る日々の激しいやり取りの中、政策立案者らは自らのまずい決断で潜在成長率が早く低下していることが見えなくなっている可能性がある。
カーネギー国際平和財団のユーコン・フアン氏によると、成長率が4─5%に低下すれば、予想されていた米国人の所得水準との「コンバージェンス(収束)」は事実上行き詰まるかもしれない。注意が必要なのは中国政府が経済開放という厳しい選択肢を取るのではなく、「新常態(ニューノーマル)」を受け入れることだろう。
●背景となるニュース
*中国国家統計局が18日発表した第3・四半期の国内総生産(GDP)は前年比6.0%増と、少なくとも27年半ぶりの低い伸びとなった。米中貿易戦争の影響で製造業の生産が不調となり、内需外需ともに低迷した。[nL3N2730MC]
*中国政府のウェブサイトで9月16日に公表されたロシアメディアとのインタビュー内容によると、李克強首相は中国経済が6%以上の成長を達成するのは「非常に困難」だと述べた。
(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)
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