欧州市場サマリー(20日)

[20日 ロイター] - <ロンドン株式市場> 小幅に続伸して取引を終えた。ポンドが値上がりしたことで株価の上昇が限定され、欧州株式市場と比べて勢いがなかった。
この日発表された8月の小売売上高指数は予想に反して上昇した。アナリストらは春夏に好調だった個人消費が勢いを失うことを予想していた。サッカー・ワールドカップ(W杯)ロシア大会が終わったにもかかわらず、小売売上高は底堅さを保った。英国の欧州連合(EU)離脱が慎重な消費判断に繋がっている兆しもない。
スプレデックスのアナリスト、コナー・キャンベル氏は「この日は世界的に株価が上がったが、小売売上高統計を受けたポンド高によってロンドン株式相場は完全には勢いに乗ることができなかった」と指摘した。
32億ドルの自社株買いが好感された英豪系資源大手リオ・ティントは2.5%高となった。金・銀生産のフレスニロやチリ産銅大手アントファガスタなどの同業銘柄も同じくらいの値上がりだった。
鉱業や金融株がFTSE100種の主な押し上げ要因だった。
<欧州株式市場> 続伸して取引を終えた。米中貿易摩擦に対する懸念が後退する中でリスク志向が強まった。世界的に株価が上がった。
米中両国が今週に発表した新たな関税措置を受けて、両国が摩擦解消に向けた打開策を見出すとの期待から、STOXX欧州600種自動車・部品株指数と銀行株指数、資源株指数が上昇した。
自動車株はまた、ケプラーが投資判断を引き上げたことも追い風となった。ケプラーは投資家向けのメモで「自動車のバリュエーションは、悪いニュースを既に織り込んでおり、過去最低水準となった」と述べた。
ベルギーの通信会社プロキシマスは2.5%上昇した。シティが投資判断を引き上げたことが好感された。
<ユーロ圏債券> イタリア国債利回りが上昇した。ポピュリズム(大衆迎合主義)政党「五つ星運動」を率いるディマイオ副首相が、来年度予算案で同党が要請している歳出が認められなければ連立政権を離脱する姿勢を示したことで、朝方は低下していた利回りが上昇に転じた。
ディマイオ副首相はイタリアのラジオ24に対し、「原資を見つけられなければ、退去した方がいい。このまま継続する意味はない」と述べた。
トリア経済・財務相は来年度予算案に盛り込まれる成長、赤字、債務などの目標を27日までに設定する必要があり、期日が近づくにつれ、イタリア国債は予算案に関連するニュースに敏感に反応するようになっている。
ディマイオ氏の発言が伝わったことで、イタリア国債利回りは短期債から長期債まで上昇。短期債が最も大きく売り込まれ、終盤の取引で2年債利回りは12ベーシスポイント(bp)上昇の0.85%となっている。5年債利回りは9bp上昇の1.94%、10年債利回りは4bp上昇の2.90%。
ラボ銀行(ロンドン)の金利部門責任者、リチャード・マグワイア氏はディマイオ氏の発言について、「五つ星運動はこれまでは連立政権崩壊につながる姿勢を示したことはないため、今回の発言は新たな展開だった」と指摘。「これまでは駆け引きが行われているような面もあり、トリア経済・財務相はそれなりに事態を制御していた。だが今は五つ星運動は譲歩するなら政権離脱もいとわないように見える」とし、この結果、イタリア政府は想定よりも大きな赤字を設定する可能性があるとの見方を示した。
イタリア国債が新たな売りを浴びる中、安全資産とされる独連邦債には買いが入り、独10年債利回りは1bp低下の0.48%となっている。その他の大部分のユーロ圏国債の利回りも低下した。

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