米企業の本国還流資金、設備投資より自社株買いに充当=FRB

米企業、本国還流資金は設備投資より自社株買いに充当=FRB
 9月4日、米国の大規模税制改革を受けて海外の資金を本国に戻した企業は、自社株買いを活発化させたが、設備投資に振り向けた形跡は乏しい。写真は2月撮影(2018年 ロイター/Jose Luis Gonzalez)
[サンフランシスコ 4日 ロイター] - 米国の大規模税制改革を受けて海外の資金を本国に戻した企業は、自社株買いを活発化させたが、設備投資に振り向けた形跡は乏しい──。米連邦準備理事会(FRB)は3日、こうした調査結果を明らかにした。
税制改革により多国籍企業が海外に保有する資金を還流させる場合に適用される税率が下がり、第1・四半期には3000億ドル余りが米国に流入した。
FRBの調査によると、この間に海外保有現金上位15社の自社株買い総額は5500億ドルと、昨年第4・四半期の2倍以上に膨らんだ。特にアップルは今年上半期全体の自社株買いが過去最高の430億ドルと、S&P総合500種銘柄の全時価総額のほぼ75%に相当する規模になり、8月に同社の時価総額1兆ドル突破を実現させた。
一方、企業が還流資金を設備投資に回したことを示す材料は限られている。FRBは、今年序盤に設備投資や研究開発投資は上向かなかったもようだが、海外現金保有上位15社の近年の設備投資は他の企業に比べるとわずかに増えていると指摘した。
設備投資や研究開発投資は、企業が長期的に事業拡大を目指していることを表す。これに対して自社株買いは、株価を押し上げ、非生産的な資金を投資家に還元して、より有効に再投資してもらうための手段との見方が一般的だ。
19日には米商務省経済分析局が第2・四半期の経常収支統計を発表する予定で、その中には企業の海外からの還流資金も含まれている。

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