中国、景気対策で融資急増なら格付けに悪影響も=S&Pアナリスト

中国、景気対策で融資急増なら格付けに悪影響も=S&Pアナリスト
 9月2日、S&Pグローバルのアナリストは、中国の景気刺激策で銀行貸し出しが過度に増加した場合、米国の関税による直接的な打撃よりも格付けに悪影響をもたらす可能性があるとの見方を示した。写真は人民元紙幣、北京市内の銀行支店で2016年3月撮影(2019年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)
[ロンドン 2日 ロイター] - 格付け会社S&Pグローバルのアナリストは、中国の景気刺激策で銀行貸し出しが過度に増加した場合、米国の関税による直接的な打撃よりも格付けに悪影響をもたらす可能性があるとの見方を示した。
中国は約2年前に中国の格付けを引き下げた。正式な格付け見直しを最後に実施してから間もなく1年になる。[nL3N1W73PN]
米国との貿易摩擦を受けた成長減速を背景に、中国はさまざまな景気刺激策を打ち出してきたが、S&Pの中国担当アナリスト、キム・エン氏は、こうした対策が行き過ぎになるリスクがあると指摘した。
「急激なショックが発生した場合、中国政府は即時的な景気支援に走る可能性がある。その場合、銀行はかなり速いペースで貸し出しを行う必要に迫られ、そうなれば政府の格付けにとってネガティブだ」と述べた。
S&Pは現在、中国の格付けを「Aプラス」、見通しは安定的としている。ムーディーズやフィッチと同じ水準だが、S&Pは大手3社のうち最初に格付けを変更することも少なくないため、近く予定される見直しに注目が集まる。
エン氏は、格付け変更を行うかどうか手掛かりは示さず、中国の金融システムは流動性が潤沢なため、即座の格下げが必要になるほど状況が悪化する可能性は低いと指摘。「通常は格付け変更の前に見通しをネガティブにするだろう」と述べた。
米国の関税については「それだけでは、格下げが必要になるほど中国経済を悪化させないだろう」とし、「問題は中国がどのように経済を安定化させるかだ。融資を活用すれば格付けへのリスクは比較的大きくなる」と語った。

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