EU、イラン核合意へのコミット表明 経済界は悲観的

EU、イラン核合意へのコミット表明 経済界は悲観的
 5月9日、トランプ米大統領が8日にイラン核合意からの離脱と米経済制裁の再開を表明したことを受け、欧州政府は、イランとの経済関係に対する影響回避に努める考えを示した。写真は米国の制裁再開で最も影響を受けるとみられる欧州企業の一つ、エアバス社のロゴ。昨年4月にトゥールーズで撮影(2018年 ロイター/Regis Duvignau)
[パリ/ミュンヘン 9日 ロイター] - トランプ米大統領が8日にイラン核合意からの離脱と米経済制裁の再開を表明したことを受け、欧州政府は9日、イランとの経済関係に対する影響回避に努める考えを示した。ただ、経済界はより悲観的な反応を示している。
欧州連合(EU)は9日、核合意への継続的なコミットメントを表明し、EUの制裁解除措置を続ける方針を明らかにした。
ただ、イランに投資を行っている、あるいは投資を計画している企業は、米制裁再開までの3─6カ月の猶予期間以降の先行きについては概ね沈黙を保った。
独シーメンズのラルフ・トーマス最高財務責任者(CFO)は「依然として状況を精査している」とした上で、既存プロジェクトは「法的に可能な限り」遂行すると述べた。
米国の制裁再開で最も影響を受けるとみられる欧州企業は、航空機大手のエアバス、自動車大手PSAグループ、ルノーなど。
フランス政府当局者によると、同国は仏自動車メーカーによる対イラン投資への影響を回避するため、米国の理解を得ようとしている。
ドイツでは、主要経済団体のドイツ産業連盟(BDI)が、EU、ロシア、中国は核合意へのコミットを明確に表明すべきだと訴えた。ディーター・ケンプ会長は、核合意によってイラン市場へのアクセスに期待が高まったが、こうした期待は明らかに後退したと述べた。
2017年に対イラン輸出を再開したフォルクスワーゲン(VW)は、状況を注視しているとした。
核合意を受けてイラン企業への融資を再開していた一部の欧州銀行は、トランプ大統領の離脱決定を想定して既に取引を停止していたことを明らかにした。
ダンスク銀行の広報担当者は、イランとの取引が業務や評判に悪影響を与えるリスクが高まったため、今年に入って同国との取引関係を停止したと述べた。

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