米下院議長、薬価引き下げに向け法案公表 大統領に協力呼び掛け

[ワシントン 19日 ロイター] - 米民主党のペロシ下院議長は19日、処方箋薬の価格抑制に向け、政府が製薬会社と直接価格を交渉することを可能にする法案を公表した。上院で多数派を占める共和党の支持を取り付けるため、トランプ米大統領に協力を呼び掛けた。
ただ、上下両院の共和党議員の多くは政府が薬価を直接交渉すれば、価格の固定化につながるとして否定的な見方を示している。
ペロシ氏は記者会見で「ホワイトハウスが同案を受け入れることを望んでいる。それが上院で賛成票を取り付けるための必須条件だからだ。上下両院で超党派の支持を可能な限り広げたいと考えている」と表明した。
米国は処方箋薬に国民が支払う額が世界で最も高い。他の先進国の大半は国民皆保険を導入しており、政府が製薬会社と交渉し、公定価格を決定している。トランプ氏は諸外国の低い薬価についても批判してきた。
ペロシ氏の法案は具体的に、競合製品がないため高額な250種の処方箋薬のうち25種以上について、政府が毎年価格交渉を行うことを可能にする内容。交渉によって決められた公定価格は高齢者向け公的医療保険(メディケア)の対象者だけでなく、全国民に適用される。交渉を拒否する製薬会社は特定の医薬品の総売上高の65%以上の罰金を科される。
トランプ大統領は薬価引き下げを公約しているが、2020年の大統領選まで実現するのは困難な状況となっている。
共和党のマコネル上院院内総務は政治専門サイトのポリティコとのインタビューで、ペロシ氏の法案を上院で審議する可能性を否定した。
ペロシ氏は法案策定の過程で政権側と協議してきた。同氏は「大統領とはこれを優先事項にするという会話があった。協力する方向で大統領が検討すると期待している」と語った。
一方、上院共和党のチャック・グラスリー議員は民主党のロン・ワイデン議員とともに薬価に関する別の法案を策定。ペロシ氏の案に比べて「穏健な」内容となっている。
トランプ氏はツイッターへの投稿でグラスリー氏らの法案は「非常に好ましい。ペロシ議員の法案が出たことも素晴らしい。超党派で取り組もう!」と呼び掛けた。

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