欧州市場サマリー(29日)
[29日 ロイター] - <ロンドン株式市場> 4営業日ぶりに反発して取引を 終えた。米国と中国の好調な経済指標を受けて市場心理が好転したほか、旅行株の値上が りが相場を押し上げた。 英国の欧州連合(EU)離脱が混乱したことを受け、多くの旅行者がEU以外の海外 旅行を計画している。旅行大手TUIのロンドン上場株は2.7%高で、2月以 来の高値をつけた。航空会社ブリティッシュ・エアウェイズ(BA)の親会社IAGは2.0%、格安航空会社のイージージェットは1.0%それぞれ上昇した 。小型株では世界最古の旅行会社トーマス・クックが4.1%上昇した。 IGのアナリスト、クリス・ビーチャム氏は「米国の国内総生産(GDP)を受け リスク志向が強まった。世界的に経済成長が改善しているとの期待から英銀の決算も今の ところ、底堅い」とした。 アジアへのエクスポージャーが高い金融大手HSBCは0.6%高と、FT SE100種の最大の押し上げ要因だった。中国の大手銀行、中国工商銀行(ICBC) の好決算が買い材料だった。 中型株では鉄鉱石用ペレットメーカー、フェレクスポが5.1%上昇した。 寄付金の一部が不正流用された疑惑を巡る捜査が続く中でも、市場はフェレクスポの業績 に注目した。 ロンドン株式市場: <欧州株式市場> 小幅に続伸して取引を終えた。スペイン総選挙で、サンチェス首 相が率いる中道左派の与党・社会労働党(PSOE)が第1党を維持したことが相場を下 支えした。 サンチェス氏は選挙で勝利を収めたものの、PSOEの獲得議席数は過半数に達せず 、連立政権を組む必要がある。 朝方発表されたユーロ圏景況感指数が軟調だったことが合わさって、スペインのIB EX指数は序盤に1%近く低下したが、その後は0.12%高まで持ち直し取引 を終えた。 投資家らは選挙結果について次第に前向きな見方を示すようになった。INGのエコ ノミスト、バート・コリーン氏は、PSOEが政権を担い続けることを評価し、「欧州主 義であることは総じて、改革や政策に良いことだ。サンチェス氏が欧州支持派であること は市場にとって安心材料だ」と述べた。 スペインのサンタンデール銀行は0.1%高だった。スペインの国債利回り が低下したことでも、投資家の中で買い安心感が広がったことが読み取れる。 STOXX欧州600種銀行株指数は0.98%上昇した。STOXX欧州 600種を最も大幅に押し上げた10銘柄の中には金融大手HSBCとイタリア 銀行大手インテサ・サンパオロ、フランスBNPパリバがあった。 一方、ドイツの製薬・化学大手バイエルは3.5%安だった。株主の大多 数が前週末の年次総会で幹部を支持しなかったことで、買収の標的になるとの憶測が飛び 交った。18年8月以降、バイエルの時価総額の約300億ユーロが吹き飛んでいる。1 8年に買収が完了した米種子・農薬大手モンサントが、除草剤の発がん性を警告しなかっ たとする米陪審の判決が売り材料となっている。この日は配当落ちしたことも売り材料だ った。 欧州株式市場: <ユーロ圏債券> スペイン国債利回りが週末の総選挙を受けて低下した。与党社会 労働党が第1党を維持する見通しになった今回の投票結果は、市場では親欧州的と受け止 められている。 社会労働党は下院(定数350)で123議席を獲得。一方、極右政党ボックス(V OX)が躍進し、24議席を得て下院に初進出したが、VOX台頭で右派票が割れたこと が社会労働党に有利に働いた。 連立協議は今週始まるが、市場参加者らは、左派政党による連立政権が誕生する可能 性が最も高いと予想している。 インドスエズ・ウェルス・マネジメントの経済リサーチ責任者のマリー・オーエンス ・トムセン氏は「今回の結果は最も欧州寄りと言える」と指摘。ただ、カタルーニャ地方 の独立運動にも触れ、「こうした政党は分離主義勢力により融和的で、カタルーニャは近 い将来も問題として残るだろう」と述べた。 スペイン10年債と30年債の利回りは、それぞれ約2ベーシスポイント(bp)低 下した。 スペインとドイツの10年債利回り格差は、ほぼ2週間ぶりの低水準となる100b pで、前週に一時付けた110.6bpを大きく下回った。 同格差は3月 初めに付けた今年の最低水準である95bpに接近している。 この日発表された3月の個人消費支出(季節調整済み)は前月比0.9%増と予想を 上回り、2009年8月以来の大幅な伸びとなった。 これを受け、ドイツ 10年債利回りは一時0.017%に上昇。終盤では約2bp上昇のゼロ% 付近。 ユーロ圏の他の高格付け国債利回りは1─2bp上昇した。 イタリアの10年債利回りは、2.58%付近で横ばい。序盤の取引で は、一時5bp低下の2.53%を付けた。 市場材料になる可能性があるとみられる今週のイベントは、ユーロ圏のインフレ指標 や米連邦公開市場委員会(FOMC)、イタリアとスペインの景気調査などがある。 ユーロ圏金融・債券市場: <為替> 欧州終盤 アジア市場 コード 終盤 ユーロ/ドル 1.1166 1.1160 ドル/円 111.79 111.75 ユーロ/円 124.89 124.78 <株式指数> 終値 前日比 % 前営業日終値 コード STOXX欧州600種 391.32 +0.31 +0.08 391.01 FTSEユーロファースト 1536.66 +0.99 +0.06 1535.67 300種 DJユーロSTOXX50 3501.94 +1.53 +0.04 3500.41 種 FTSE100種 7440.66 +12.47 +0.17 7428.19 クセトラDAX 12328.02 +12.84 +0.10 12315.18 CAC40種 5580.98 +11.62 +0.21 5569.36 <金現物> 午後 コード 値決め 1279.5 <金利・債券> 米東部時間14時35分 *先物 清算値 前日比 前営業日 コード 終盤 3カ月物ユーロ 100.31 0.00 100.31 独連邦債2年物 111.93 -0.02 111.95 独連邦債5年物 133.00 -0.08 133.08 独連邦債10年物 165.55 -0.27 165.82 独連邦債30年物 189.14 -0.68 189.82 *現物利回り 現在値 前日比 前営業日 コード 終盤 独連邦債2年物 -0.592 +0.015 -0.594 独連邦債5年物 -0.413 +0.015 -0.436 独連邦債10年物 0.007 +0.022 -0.020 独連邦債30年物 0.652 +0.020 0.629
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