ロシア・中国、米ミサイル実験を批判 「軍事的緊張あおる」

米の地上発射型巡航ミサイル実験は遺憾─ロシア外務次官=タス通信
 8月20日、ロシア外務省のセルゲイ・リャブコフ次官は、米国が地上発射型の中距離巡航ミサイルの発射試験を行ったことについて、遺憾だとした上で、米国が長年にわたって中距離核戦力(INF)廃棄条約の離脱を準備していたことを示すものだと述べた。写真はモスクワで2017年4月撮影(2019年 ロイター/Maxim Shemetov)
[モスクワ 20日 ロイター] - ロシアと中国は20日、米国による地上発射型の中距離巡航ミサイル実験が軍事的緊張をあおると批判した。
米国防総省は前日、地上発射型の中距離巡航ミサイルの発射試験をカリフォルニア州サンニコラス島で18日に行い、500キロ以上先の標的に命中したと発表した。
ロシア外務省のリャブコフ次官は、米政府が「明らかに軍事的緊張を高める方針に出た」と批判した。
また、タス通信によると、同次官はロシアが軍拡競争に引き込まれることはないとし、米国が先手を打たない限りミサイルを配備するつもりは依然としてないと述べた。
ロシア大統領府のぺスコフ報道官も「今回のような実験を数週間、数カ月で用意することは可能ではない。中距離核戦力(INF)廃棄条約の破綻を招いたのはロシアではなく、米国であることが示された」とコメントした。さらに、今回の実験が米国が長年にわたってINF廃棄条約の離脱を準備していたことを示すものとした。
米国は今月2日、旧ソ連と1987年に締結したINF廃棄条約を正式に離脱。トランプ大統領は、ロシアが条約に違反し、条約を順守する計画もないと批判していた。
一方、中国もこの問題に懸念を表明した。外務省の報道官は、米国のミサイル実験は新たな軍拡競争や対立をあおるものとし、地域や世界の安全保障に深刻な悪影響を及ぼすと非難。「冷戦やゼロサムゲームといった時代遅れの概念を捨て、兵器開発を自制するよう米国に促す」と述べた。
*内容を追加しました。

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