アジア株式市場サマリー:引け(10日)

[10日 ロイター] - 東南アジア株式市場の株価は、大半が堅調だった。トランプ米政権は同日、対中追加関税を引き上げたものの、両国が貿易協議を継続する中、合意の可能性に期待が広がった。
先週の貿易協議で、中国が貿易慣行の抜本的な是正策に関する姿勢を後退させたことをきっかけに、米中間の緊張が高まった。トランプ大統領は対中追加関税の引き上げを命じ、中国も報復措置を講じる構えを見せている。
ただ、両国は協議継続で一致しており、最終的に合意に達する可能性は残されている。
KGIセキュリティーズのアナリストは「米中が週末にかけて合意に至らなければ、来週はおそらく売り圧力が強まるだろう。米市場の先物相場はおおむね横ばいで、合意期待はまだいくらか残っていると思う」と述べた。
中国株式は大幅高で引けた。米政府が中国製品に対する関税を引き上げて中国は対抗措置を取る意向を示したものの、両国が通商交渉で最終的に合意するとの期待が高まっている。
聯訊証券のアナリストは「先は明るい。劉鶴副首相のワシントンでの発言は(米中の協議が)合意に達する可能性が比較的高いことを示している」との見方を示した。米側が態度を硬化させたのは交渉上の戦略の可能性があり、協議の最終的な方向や結果には影響しないと分析した。
浙商証券のアナリスト氏は中国市場はこのところ大きく下落していたため下値を探る余地は限られると指摘した。
市場では、関税引き上げで中国経済に悪影響が出れば、中国当局が追加の緩和策や支援策を発表するとの期待も広がっている。
上海総合指数とCSI300指数は、週間ベースではそれぞれ4.7%、4.5%下落。3カ月ぶりの安値付近に値下がりしている。
香港市場もしっかり。
ただハンセン指数<.HSI>は週間では5.1%下落し、2018年2月以来の下げを記録した。
ソウル株式市場は5営業日ぶりに反発した。トランプ米政権が対中追加関税の引き上げに踏み切ったことで上値は抑えられた。投資家は米中貿易協議の結果を待っている状態。
米国は10日、2000億ドル相当の中国製品に課す追加関税を10%から25%に引き上げた。中国は制裁措置で応じる構えを示しており、両国の緊張は高まっている。
外国人投資家は3222億ウォン相当の売り越し。
出来高は7億0173万株。取引された892銘柄のうち、上昇したのは358銘柄だった。
シドニー株式市場の株価は小幅続伸した。トランプ米政権は同日、2000億ドル相当の中国製品に課す追加関税を10%から25%に引き上げたが、貿易協議が継続されていることで、合意期待が広がった。
S&P/ASX200指数は、週間では0.8%安となった。
中国側は、米国が関税引き上げに踏み切れば報復措置で応じる構えを見せていたが、即時の対応は取らなかった。
ASRウェルス・アドバイザーズの株式調査アナリスト、トゥマル・シンハ氏は「(関税引き上げに対する)市場の反応は予想していたほど極端ではなかった」と述べた。
通信株が市場の上げをけん引し、TPGテレコムは大幅高となった。豪独禁当局は同社とボーダフォン・ハチソン・オーストラリア(VHA)の合併計画に反対を表明したが、アナリストなどは裁判所が手続きを進めることを承認する可能性があるとの見方を示している。
オーストラリア準備銀行(RBA、中央銀行)が同日公表した金融政策に関する四半期報告書で、失業率が低下しなければ利下げを検討する可能性を示唆したことも、投資家のリスク選好意欲を上向かせた。RBAはまた、成長率とインフレの見通しを下方修正した。
公益株も上昇。AGLエナジーは2週間ぶりの高値を付けた。原油高を背景にエネルギー株も買われ、ウッドサイド・ペトロリアムは4月29日以来の高値を付けた。サントスは1週間ぶりの高値となった。

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