新たな総括検証の予定ない、緩和粘り強く推進=黒田日銀総裁

新たな総括検証の予定ない、緩和粘り強く推進=黒田日銀総裁
 2月26日、日銀の黒田東彦総裁(写真)は午前の衆議院予算委員会で、現行のイールドカーブ・コントロール(YCC)政策のもとで経済は順調に拡大しており、金融政策の効果などについて新たに総括的な検証を行う予定はない、と語った。写真は都内で16日撮影(2018年 ロイター/Toru Hanai)
[東京 26日 ロイター] - 日銀の黒田東彦総裁は26日午前の衆議院予算委員会で、現行のイールドカーブ・コントロール(YCC)政策のもとで経済は順調に拡大しており、金融政策の効果などについて新たに総括的な検証を行う予定はない、と語った。もっとも、これまで物価2%目標の達成時期が6回も先送りされたことは「残念」とし、目標実現に向けて強力な金融緩和を粘り強く推進していくと述べた。階猛委員(希望)への答弁。
総裁は、2013年4月の就任以降、物価2%目標の達成時期が後ずれしてきたことは事実とし、「そのこと自体は残念なこと」と語った。
これまでの金融緩和の効果もあって「日本経済はすでにデフレでない状況になっている。経済自体は極めて順調に拡大している」としながらも、物価は2%目標には依然として距離があるとし、「現在の大幅な金融緩和を粘り強く続けていく必要がある」との見解をあらためて表明した。
日銀は2016年9月にそれまでの大規模緩和の効果などについて総括的な検証を行い、それを踏まえて現行のYCCを含めた新たな政策の枠組みを導入した。
総裁は、現行政策のもとで「順調に進んでいる」と述べ、「現時点で新たに総括的な検証を行う予定はない」と断言した。
「2%」の物価目標の妥当性に関しては「長い目で見た為替レートの安定に資する」などと説明し、「日本の経済・物価の現状を踏まえると、引き続き2%の物価安定目標の実現を目指していくことが適当」と2%を目指す考えを強調した。
YCCの金融機関経営への影響については「総じて金融機関は、十分な資本基盤を有し、信用コストも減少している」と述べた。さらに、YCCの影響で金融機関の収益に大きな影響が出て金融緩和の効果が減殺されているということになっていないとの見解を示した。
ただ「金融機関の収益状況については、長期的なことも含め十分注視していきたい」とも述べた。

伊藤純夫

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