金融庁、仮想通貨取引所7社を一斉処分 みなし2社を業務停止に

金融庁、仮想通貨取引所7社を一斉処分 みなし2社を業務停止に
 3月8日、金融庁は、改正資金決済法に基づき、仮想通貨取引所としての登録が済んでいない「みなし業者」2社に1カ月の業務停止命令を出すなど合計7社の仮想通貨取引所への行政処分を一斉に発表した。コインチェックには2度目の業務改善命令を出した。写真はコインチェックの事務所前で2月に撮影(2018年 ロイター/Kim Kyung Hoon)
[東京 8日 ロイター] - 金融庁は8日、改正資金決済法に基づき、仮想通貨取引所としての登録が済んでいない「みなし業者」2社に1カ月の業務停止命令を出すなど合計7社の仮想通貨取引所への行政処分を一斉に発表した。コインチェックには2度目の業務改善命令を出した。
同庁はまた、仮想通貨や仮想通貨取引所をめぐる制度の研究会を設置することも発表した。早期に初会合を開き、法改正の要否を検討する。
<みなし2社を業務停止に>
コインチェックからの巨額の仮想通貨流出を受け、金融庁は矢継ぎ早に仮想通貨取引所への立入検査を実施。その結果、一部の業者でビジネスの急拡大に体制整備が追いつかず、顧客保護がなおざりになっている実態が明らかになった。
金融庁はコインチェックを除くみなし業者15社の立ち入り検査を順次実施中。8日、FSHO、ビットステーションに対して、1カ月間の業務停止命令と業務改善命令を出した。バイクリメンツとミスターエクスチェンジには業務改善命令を出した。
金融庁は、FSHOとビットステーションの2社について、法令が求める体制整備ができていなかったことに加え、マネーロンダリング(資金洗浄)防止や法令順守の観点で問題がある事例を確認。業務停止処分とした。
FSHOでは、複数回にわたって高額の仮想通貨の売買が現金の払い出しを伴って行なわれており、金融庁は「マネロンの観点から、リスクの高い取引だ」(幹部)と指摘した。
一方のビットステーションでは、同社の経営企画部長が利用者から預かったビットコインを私的に流用していた。金融庁は同社に刑事告発するよう指示したが、同社は現時点で刑事告発していないという。
金融庁は8日、ビットステーションのほか、bitExpress、来夢のみなし業者3社から登録申請の取り下げの申し出があったことを明らかにした。
<テックビューロ、GMOコインには改善命令>
登録業者のうち、金融庁の立ち入り検査を受けていた仮想通貨取引所「Zaif」を運営するテックビューロとGMOコインに対しては、業務改善命令が出された。
テックビューロについては、仮想通貨をゼロ円で販売するなどシステムトラブルが相次いだにもかかわらず、経営陣による根本原因の分析や再発防止策が十分になされていなかった。同社の情報開示について、金融庁は「顧客からの苦情が多いにもかかわらず、適切かつ迅速な対応ができていない」(幹部)と苦言を呈した。
<コインチェックには2度目の処分>
コインチェックには、流出直後の1月29日に続き、2度目の行政処分となった。1回目の処分では、システムの安全管理に軸を置いた命令だったが、今回は同社の経営体制が機能していないことに重心を置き、経営体制の抜本的な見直しを求めた。
また、取り扱う仮想通貨のリスクの洗い出しやマネロン・テロ資金供与防止対策も要求した。
8日午後、都内で和田晃一良・コインチェック社長らが会見する。会見で、経営体制や補償方針などについて説明する予定だが、金融庁は業務改善命令の一環で、取引再開や新規顧客のアカウント開設に当たっては、各体制の抜本的な見直しや実効性確保を先行させるよう注文をつけた。
コインチェックは流出した仮想通貨NEMの補償について、約463億円相当を自己資金で行なう方針を繰り返し示している。金融庁は8日、返済原資が確認済みであると明らかにした。
*本文8段落目の記述をより正確な表現に改めました。

和田崇彦

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