ブログ:アマゾンの氾濫を生きる術、木の上にすむジャガーたち

ブログ:アマゾンの氾濫を生きる術、木の上にすむジャガーたち
 4月5日、ブラジルにすむジャガーたちは、アマゾンの氾濫を耐えて生き延びるため、雨季は木の上で暮らしている。アマゾナス州で昨年6月撮影(2018年 ロイター/Bruno Kelly)
Bruno Kelly
[UARINI(ブラジル) 5日 ロイター] - ブラジルにすむジャガーたちは、ハンターや牧場主や生息地の破壊に脅かされているが、少なくともある脅威を生き抜くことは学んでいる。
それは、アマゾンの氾濫だ。ジャガーたちは木の上で暮らしている。
ジャガーは全長2メートル、体重90キロにもなり、南米最大のネコ科動物だが、木の最上部を機敏に動き回り、熱帯雨林が数メートルもの水に沈む4月から7月の間、そこで暮らしている。
「大型動物のジャガーが、木の上で3、4カ月もの間、子どもを育て、氾濫を乗り切っている」と、マミラウア研究所のプロジェクトを率いる研究者エミリアーノ・ラマーリョ氏は言う。
「私たちがここに生息するジャガーたちを調査する以前は、記録が全くなかった」
プロジェクトでは、アマゾンの奥深くマミラウアに生息するジャガーを観察し、地元住民との関係を調査し、彼らの保護を行っている。
雨季におけるジャガーの行動記録はまれで、同地域で観察を始めてから9年後の2013年、初めて木の上に長期間暮らすジャガーが確認された。だが私たちは、アマゾナス州の州都マナウスから西に600キロにあるマミラウア自然保護区を2016年から18年にかけて数回訪れ、高い木の枝に止まるジャガーの姿を撮影することができた。
複雑な柄からブラジルで「ペイントされたジャガー」と呼ばれるジャガーたちを、ジャングル奥深くの頭上高く茂った枝や葉の中で見つけることは困難だ。
研究者たちは10年近くジャガーたちを観察した結果、彼らの行動を発見した。保護区に住む1万人以上の住居前まで氾濫した水が押し寄せるのと同じ状況下で、浮動拠点から調査を続けてきた。
先月の遠征では、ヘッドランプをつけた研究者は夜に黒色のオスのジャガーを追跡し、麻酔をかけた。ぐったりしたジャガーをブルーシートの上に横たわらせ、タオルで頭部をくるみ、追跡のための首輪を装着して歯や器官を調べた。
現在、多くのジャガーに追跡装置がつけられているため、浸水した森林を小さなボートで訪れる研究者は、無線受信機をかかげるだけで彼らの位置を正確に知ることができる。
ジャガーの行動を理解することは、アマゾンの氾濫原を保護する必要性の支援材料になると、前出のラマーニョさんは言う。
ラマーニョさんのプロジェクトは地元住民が運営するロッジと協力し、ジャガーも目にすることができるエコツーリズムを提供している。
その目的は、ジャガーの保護の啓蒙(けいもう)と地元住民の収入確保だ。木の上にすむジャガーを見るツアーの費用は1人あたり1万レアル(約32万円)だ。
ジャガーが家畜やペットを食べてしまうことがあるため、住民は時に恐れたり怒ったりしている。だがエコツーリズムは、ジャガーと住民の関係をより良いものにするのに役立っている。
プロジェクトのアシスタントを務める住民の1人は、ジャングルから光るジャガーの真っ黒な瞳を見つめる経験は忘れられないと言う。
「直接ジャガーと顔を合わせる幸運に恵まれている。確かに絆はある」

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