東京五輪、開会式前日に演出担当を解任 内容を見直し

[東京 22日 ロイター] - 東京五輪・パラリンピック大会組織委員会は22日、ユダヤ人大量虐殺を過去にやゆしていたとして、開閉会式の演出を担当する小林賢太郎氏を解任した。不祥事が続く東京五輪は、開会式を翌日に控えて演出全体を見直す異例の事態となった。
会見した橋本聖子会長は謝罪した上で、23日の開会式について「全体を早急に見直している。どのようにしていくかということを早急に協議し結論を出したい」と語った。
橋本会長によると、かつてお笑い芸人だった小林氏の過去の言動について組織委に情報が入ったのは22日深夜。橋本氏は、「外交上の問題もある」と考えて解任を決めたと説明した。
 7月22日  東京五輪・パラリンピック大会組織委員会は22日、開閉会式の演出を担当する小林賢太郎氏を解任したと発表した。写真は開閉会式が行われる新国立競技場。7月21日、東京で撮影(2021年 ロイター/Issei Kato)
小林氏の言動を巡っては、アメリカのユダヤ系団体が非難する声明を発表していた。
小林氏は「ショーディレクター」という肩書きで、式の演出全体を取りまとめる役割を担当していた。同氏は橋本会長を通じてコメントを出し、1998年に発売したビデオの中で「不適切な表現があった」と認めて謝罪。「当時の愚かな言葉選びが間違いだったということを理解し、反省している」とした。
23日午後に開かれる東京五輪の開会式を巡っては、楽曲を担当していた小山田圭吾氏が、過去に雑誌でいじめを告白していたことが問題視されて19日に辞任した。開閉会式とは別に、文化プログラムのイベントに参加予定だった絵本作家ののぶみさんも、過去の発言が問題となって自ら出演を辞退した。
橋本会長は、責任を痛感しているとした上で、「開会式を見たくないと思っている人がたくさんいることは承知している」と語った。一方で、「できるかぎり賛同してもらえるような対策、対応、組織委の振る舞いを、責任者として取り組んでいきたい」と辞任の可能性は否定した。

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