低炭素移行の貿易障壁解消で温暖化対策を支援=WTO

低炭素移行の貿易障壁解消で温暖化対策を支援=WTO
世界貿易機関(WTO)は7日、国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)開催に合わせて報告書を発表し、気候変動対策における世界貿易の役割に対処する措置の一つとして低炭素産業の貿易障壁問題への対応を挙げた。ニューヨーク港で6日撮影。(2022年 ロイター/Brendan McDermid)
[ジュネーブ 7日 ロイター] - 世界貿易機関(WTO)は7日、国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)開催に合わせて報告書を発表し、気候変動対策における世界貿易の役割に対処する措置の一つとして低炭素産業の貿易障壁問題への対応を挙げた。
WTOは2022年世界貿易報告書で、低炭素技術の進歩が、豊かな国の生活水準を下げず、貧しい国の開発見通しを損なうことなく温暖化ガス排出量を大幅に削減する最も現実的な方法だと指摘した。
オコンジョ・イウェアラ事務局長は序文で「WTOには今の機会を利用し、貿易と気候変動に関する調整の場としての役割を強化し、低炭素技術の普及と使用を妨げる貿易政策の障壁に対処し、世界経済の脱炭素に必要な構造変化を支援するチャンスが訪れている。この機会を最大限に活用できることを願う」と述べた。
WTOの取り組みの一つとして、炭素集約型産業よりも高くなる傾向がある低炭素産業に対する関税、その他障壁を削減することを挙げた。障壁を廃止すれば、太陽光パネルやスマート暖房制御システムなどのエネルギー関連環境製品の世界輸出は2030年までに5%(1090億ドル)増加すると試算。さらに広く受け入れられる炭素価格の設定も排出削減につながるとした。
貿易は、財の輸送の過程で温室効果ガスを排出するなど「問題の一部」となっていたが「将来、適切な政策が実施されれば、貿易は解決策の主要な部分になる可能性がある。貿易協力は、この世界的な変革を推進する鍵だ」とした。

私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」, opens new tab