「iPhone14 Pro」出荷減へ、中国コロナ策で生産打撃

[台北 7日 ロイター] - 米アップルは、新型スマートフォン「iPhone14」のハイエンドモデルの出荷台数が従来の想定より少なくなるとの見通しを示した。新型コロナウイルス対策で中国の組立工場が大きな影響を受けるため。
アップルは6日の発表文で「(同工場は)現在、能力を大幅に削減して稼働している」とし、「顧客は新商品を受け取るまでの待ち時間が長くなる見込みだ」と説明。具体的な生産への影響は明らかにしていない。
「iPhone14 Pro」と「iPhone14 Pro Max」への需要は依然強いという。
ロイターは先月、中国の厳しい新型コロナ対策により、台湾の鴻海精密工業の鄭州工場で生産するiPhoneの11月出荷量が最大3割減少する可能性があると報じていた。
約20万人を雇用する鄭州工場では厳しいコロナ対策を巡り不満が広がり、施設を去る労働者も出ている。
市場調査会社トレンドフォースは先週、鄭州工場問題を受け、第4・四半期のiPhone出荷台数見通しを従来の8000万台から200万─300万台引き下げた。同工場の稼働率は現在70%前後という。
LPLフィナンシャル(ノースカロライナ州)のチーフグローバルストラテジスト、クインシー・クロスビー氏は「生産がアップル株価に影響を与えるのは間違いないが、中国経済の先行きを巡る不透明感の一部に過ぎない」と述べた。
中国国家衛生健康委員会は6日、新型コロナウイルスの新規市中感染者が5日に4420人と前日の3659人から増加し、5月6日以来最多となったと発表した。
保健当局は5日の記者会見で、厳格に感染を抑止する「ダイナミックゼロコロナ」政策を堅持すると改めて表明した。
  米アップルは、新型スマートフォン「iPhone14」のハイエンドモデルの出荷台数が従来の想定より少なくなるとの見通しを示した。新型コロナウイルス対策で中国の組立工場が大きな影響を受けるため。北京で9月撮影(2022年 ロイター/Thomas Peter)
<鴻海、第4・四半期見通し下方修正>
鴻海は7日、鄭州工場でのフル生産をできるだけ早く再開するよう努力していると表明するとともに、第4・四半期見通しを下方修正した。
また、鄭州工場でコロナ感染抑制策として、勤務している従業員全員を3つの寮に移すなど新たな措置を導入すると明らかにした。
鴻海株は7日序盤の取引で0.5%安。台湾市場の主要株価指数は1.2%高となっている。
iPhone工場がある中国河南省の工業団地「鄭州航空港経済総合実験区」は2日、コロナ流行に伴う新たなロックダウン(都市封鎖)を9日まで直ちに導入すると発表した。
鴻海は発表文で「(河南省政府が)これまで通り、鴻海を全面的に支援することを明確にした」と説明。コロナ流行を食い止めるため政府と協力していることも明らかにした。
一方、「慎重ながら楽観的」に見ていた第4・四半期については、鄭州工場でのイベントを考慮して見通しを「下方修正」すると明らかにした。
鴻海は第3・四半期決算を今月10日に発表する。
*動画を付けて再送します。

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