ユーロ圏財務相、欧州版IMF構想討議へ ESMの役割拡大軸に

ユーロ圏財務相、欧州版IMF構想討議へ ESMの役割拡大軸に
 10月5日、来週9日にルクセンブルクで開かれるユーロ圏財務相会合(ユーログループ)では、将来の金融危機時に国際通貨基金(IMF)や欧州中央銀行(ECB)が関与する必要性をなくす欧州版IMF「欧州通貨基金(EMF)」の設立構想について討議が行われる。写真はウクライナで5月撮影(2017年 ロイター/Valentyn Ogirenko)
[ブリュッセル 4日 ロイター] - 来週9日にルクセンブルクで開かれるユーロ圏財務相会合(ユーログループ)では、将来の金融危機時に国際通貨基金(IMF)や欧州中央銀行(ECB)が関与する必要性をなくす欧州版IMF「欧州通貨基金(EMF)」の設立構想について討議が行われる。
討議は、ユーロ圏の常設金融支援機関である欧州安定メカニズム(ESM)の役割拡大を軸に進む見通し。この構想はドイツやフランス、欧州委員会が支持している。
討議は、英国の欧州連合(EU)離脱後にユーロ圏の統合をどのように深化させていくかなど、今後の統合のあり方に関する幅広い討議の一環。
ユーロ圏改革については、ユーロ圏単独予算の策定やユーロ圏を代表する財務相ポストの創設なども提案されている。
レグリングESM総裁は9月の演説で、「これまではIMFが常に欧州のESMの救済プログラムに貢献してきた。しかし現在は、将来の危機で再び同じ役割は果たさないとのコンセンサスが強まりつつある」と指摘。「ESMがその役割や他の任務を引き継ぐことが可能だ」と述べた。
また、2010─2012年の債務危機時に対応にあたったユーロ圏の当局者らは、救済国の改革状況を監視するチームに参加していたECBについても、再び関与しない方がいいと話している。
当局者の1人は「既存のESMの枠組みを改組し、新たなツールを付与するなどして、ECBもIMFも関与しない状況に適応させるのが唯一の方法だ」と述べた。
ただ、将来のEMFと欧州委員会の役割分担などについては問題も残されている。
ユーログループの討議は、12月のEU首脳会議を経て恐らくは来年前半まで続く見通し。

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