米FRB当局者、物価見通し巡る見解の相違が鮮明に

米FRB当局者、物価見通し巡る見解の相違が鮮明に
 9月25日、米連邦準備理事会(FRB)当局者の間で物価見通しを巡る見解の相違が鮮明になってきている。写真はFRB本部。2016年10月撮影(2017年 ロイター/Kevin Lamarque)
[シラキュース(米ニューヨーク州)/グランド・ラピッズ(米ミシガン州) 25日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)当局者の間で物価見通しを巡る見解の相違が鮮明になってきている。
25日にはニューヨーク連銀のダドリー総裁が、物価の弱さは消えつつあると発言。一方、シカゴ地区連銀のエバンズ総裁は、低インフレが構造的要因から来ているのではないかと不安に感じていると述べた。
ダドリー総裁もエバンズ総裁も米経済のファンダメンタルズ(基礎的諸条件)は健全とみており、将来の段階的な利上げに支持を表明している。
インフレ率の2%目標達成について、イエレンFRB議長が先週の米連邦公開市場委員会(FOMC)後の会見で自信をのぞかせており、ダドリー総裁もこうした論調を踏襲。一方、エバンズ総裁は確信していないようだ。
エバンズ総裁は「低インフレの謎」というテーマで講演後、記者団に対し、インフレ状況の改善には一部で考えられている以上に時間がかかる可能性があると指摘。「最近の弱さが構造的要因から来ているのではないかと多少不安に感じている」と述べた。
ただ、エバンズ総裁の見解はFRB内部では少数派のもようだ。
FRBはFOMCを約6週間ごとに開き、今年はこれまでに2回の利上げを実施。先週は据え置いたものの、年内にあと1回、来年には3回の利上げを想定していることを示唆した。
ダドリー総裁は、ドル安や海外の力強い経済成長などを理由に挙げ、米国の景気と賃金の伸びが平均をやや上回ると予想。「輸入物価高傾向に加え、一時的な特殊要因の影響が後退していることから、インフレ率は上昇し、中期的に(FRBの)2%の目標付近で安定化する」との見通しを示した。
また、「こうしたことから、FRBは緩和的金融政策の緩やかな解除を続ける可能性が強い」と述べた。
一方、エバンズ総裁は雇用の力強い伸びにもかかわらず、物価が2月以降に低迷していることから、引き締めにはさほど積極的ではないもよう。
総裁は向こう3回のFOMC会合で利上げを行う可能性についてはオープンとしながらも、「インフレが勢いを伴って上昇することを示す証拠を探している」とし、そうしたトレンドが指標に反映されるまでに「数カ月」以上かかるかもしれないとの見解を示した。
ロイターのデータによると、先物市場では12月利上げが72%の確率で織り込まれている。

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