コラム:女性はなぜ「優れた投資家」なのか

コラム:女性はなぜ「優れた投資家」なのか
 6月7日、企業に関して言えば、ウォール街はとても男性優位の世界だ。それ故、男性の方が優れた投資家だと多くの人は思い込んでいる。だが、それは間違った思い込みかもしれない。写真はNY市ウォール街にある雄牛の像に立ち向かう少女像。3月撮影(2017年 ロイター/Brendan McDermid)
Chris Taylor
[ニューヨーク 7日 ロイター] - 企業に関して言えば、ウォール街はとても男性優位の世界だ。それ故、男性の方が優れた投資家だと多くの人は思い込んでいる。
だが、それは間違った思い込みかもしれない。
米資産運用大手フィデリティ・インベストメンツの新たなデータによると、実際のところ、女性の方が優れた投資家であることが判明した。同社が800万件を超える証券口座を調べたところ、女性は男性よりも0.4%多く貯蓄しているだけでなく、年間で0.4%多く投資でも稼いでいることが分かった。
「これはダブルパンチだ」と、フィデリティで女性投資家を担当する上級副社長のアレキサンドラ・タウシッグ氏は話す。「男性の方が優れた投資家だという神話は、ただの神話にすぎない」
一見したところ、そのような差は大したことのないように見えるかもしれない。だが、生涯にわたる貯蓄と投資の推定額を見ると、定年時の格差は決して小さくない。22歳で年収5万ドル(約550万円)でスタートした場合、女性投資家の資産は男性投資家のそれよりも25万ドル(約2750万円)以上、上回ることになる。
女性とお金に関するフィデリティの別の調査では、一般的な態度についてさらに示唆に富む結果が出ている。投資に優れているのは男性か女性かについて回答者に尋ねたところ、女性と答えたのはわずか9%だった。
女性の方が優れた投資家なのは、厳密にはなぜなのだろうか。フィデリティによると、女性よりも男性の方が35%多く取引をする傾向にある。つまり、手数料がよりかさんでいる。
また女性の方が、職場の確定拠出年金や個人年金、そして証券口座において、年間1%ほど多く貯蓄していることが明らかになった。
もう1つ女性が有利な点がある。それは、株式だけに投資しないなど、リスクを分散させていることだ。女性は男性よりも、さまざまな資産で構成される長期的なバランス型ファンドといった商品に投資しているという。
投資において女性の方が優れているという結果は、カリフォルニア大学バークレー校のテランス・オディーン教授と同デービス校のブラッド・バーバー教授の研究でも同様だった。同研究では、女性の方が男性よりも年間1%程度、投資パフォーマンスが上回っていた。
もしワンダーウーマンのように投資したいのであれば、長期投資にシフトし、貯蓄を増やし、素晴らしい取引を行うことで市場の動きに合わせようと試みるのをあきらめることだ。
「男性は株の銘柄選びを、儲かれば自慢できるようなスポーツとして考える。だがそれこそが問題の根源なのだ」と、米マサチューセッツ州レキシントンのファイナンシャルプランナー、ジョージ・ガリアルディ氏は語った。
*筆者はロイターのコントリビューター。このコラムは個人的見解に基づいて書かれています。
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