焦点:中国企業のドル建て起債急増、資金配分にジレンマ

焦点:中国企業のドル建て起債急増、資金配分にジレンマ
 5月25日、中国企業によるドル建て債発行が過去最高水準に達し、社債のグローバル指数における中国のウエートがじりじりと高まっている。このため指数に追随する投資家の間で、中国への過剰な資金配分を強いられる懸念が浮上してきた。写真は中国山西省で2016年1月撮影(2017年 ロイター /Jon Woo)
[ロンドン/香港 25日 ロイター] - 中国企業によるドル建て債発行が過去最高水準に達し、社債のグローバル指数における中国のウエートがじりじりと高まっている。このため指数に追随する投資家の間で、中国への過剰な資金配分を強いられる懸念が浮上してきた。
オフショア市場で中国企業の起債が急増したのは、政府が国内で企業借り入れ抑制のため締め付けを強めていることへの対策という面もある。いずれにしても、JPモルガンの見積もりでは年初来の新興国企業のドル建て起債総額(利払い、償還除くベース)650億ドルのうち中国が540億ドルを占める。グロスベースの起債額も中国がおよそ半分になったという。
こうした中でグローバル指数は中国のウエートが上がり、追随する投資家はポートフォリオ調整を迫られる。グローバル指数の一部には国別ウエートの上限が設定されているが、ほとんどは市場実勢がそのまま反映される。アリアンツグローバル・インベストメンツの新興市場債責任者Greg Saichin氏は「世界的な運用にとって難しい問題が生じている。(中国投資について)過ぎたるは及ばざるがごとしという事態になりたくない」と語った。
マークイットiBOXX新興市場社債指数は、2007年に0.5%だった中国のウエートが現在約20%になっている。JPモルガンのCEMBIブロード指数も2010年の4%弱から21%に上昇した。
中国企業の今年のドル建て起債額は、昨年の1080億ドルや2014年の1160億ドルを上回るのは必至。ソシエテ・ジェネラルの債券調査共同責任者ガイ・ステア氏は「圧倒的な起債だ。とてつもなく大規模なので、新興市場社債の様相を一変させている」と話す。
手元に入ってくる資金の投資先を確保しなければならないファンドマネジャーにとって、中国企業の起債自体は総じて歓迎される。しかしステア氏は「もし新興市場社債ファンドを運営しているなら、世界のごく一部地域への配分率が途方もなく高まることが分かる」と指摘した。
<資金配分のジレンマ>
このジレンマに対して人気のある解決策の1つは、市場実勢を無条件で取り入れない特別なファンドの立ち上げだ。モーニングスターのデータによると、アジア債券投資では今年に入って既にそうしたファンドが10本設立されている。昨年は40本強が登場した。
フィデリティ・インターナショナル(香港)のポートフォリオマネジャー、ブライアン・コリンズ氏は「顧客や投資家が、単純に新興市場債指数に沿って資金を配分するのと異なるアプローチを望んでいることはとっくに承知している」と述べ、これらの特別ファンドを通じて中国向けの資金配分を減らしたり、ソブリン債利回りとの相関性が強くあまりアウトパフォームが期待できない国有企業を敬遠することができる、と説明した。
別の対応としては、中国のウエートに上限を設けた指数を活用することが挙げられる。JPモルガンのCEMBIブロード・ディバーシファイド指数は、国別のウエートに一定の制限があり、シティグループとブルームバーグも最近、中国のエクスポージャーをさまざまな形で限定する指数を立ち上げた。
パインブリッジ・インベストメンツの新興市場債共同責任者スティーブ・クック氏は「われわれはブロード・ディバーシファイド指数に追随し続けており、中国(のウエート)が8─10%で満足している」と打ち明けた。
ムーディーズがこのほど中国の国債を格下げしたことで、それ以前から見られた政府による企業のドル建て起債抑制の取り組みが加速する可能性はある。ただ、起債が完全に止まりそうにはない。もちろん第1の理由は、海外の起債は政府が資金流出防止のために導入した各種規制に拘束されずに資金を調達できるからだ。さらに中国国内で金利が上昇しているので、ドル建ての借り入れコストが割安になっている点も見逃せない。
ユーリゾンSLJキャピタルのスティーブン・ジェン最高経営責任者(CEO)は「借金を抱える中で金利が上昇し、借り換えの必要がある場合、資金を調達できる場所を見つけようとするものだ」と話した。
(Sujata Rao、Saikat Chatterjee記者)

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