英の対テロ戦略に欠陥、監視国家に向かう恐れ=国連報告書

英の対テロ戦略に欠陥、監視国家に向かう恐れ=国連報告書
 5月29日、国連は、英国の対テロ戦略には本質的な「欠陥」があり、同国が平穏な抗議活動や自由な表現を取り締まる「監視国家」へとわずかながらシフトしていると警告する報告書を公表した。写真は爆発事件のあったマンチェスターで23日撮影(2017年 ロイター/Andrew Yates)
[ジュネーブ 29日 ロイター] - 国連は29日、英国の対テロ戦略には本質的な「欠陥」があり、同国が平穏な抗議活動や自由な表現を取り締まる「監視国家」へとわずかながらシフトしていると警告する報告書を公表した。
報告書はメイ首相が内相だった時期に監督していた多くの政策について批判する内容。英中部マンチェスターでの自爆事件が起こる前にまとめられた。英国では6月8日に総選挙を控えている。
英内務省の報道官は、選挙戦期間中の行政サービス制限を理由に、国連報告書に関するコメントを拒否した。
報告書は、英国の「国家の宝」ともいえる市民社会が、警察の過度な取り締まりやテロ対策法令、慈善活動や労働組合の制限というリスクにさらされていると指摘。
「英国の対テロ戦略『Prevent(防止)』は人々を分断し、特定の層に烙印を押し、遠ざけることで、防止どころか過激思想を助長しており、本来の意図とは逆の結果を招いている」とした。
報告書はまた、英国で潜在的なテロリストをあぶりだすため過度に広範に捜査している可能性も指摘した。
この報告書は来月の国連人権理事会で取り上げられる予定。

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